グァテマラ産コーヒー豆の魅力|8つのテロワールが生む至高の味わい
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“芳醇な酸味”と“エレガントな甘み”。
この二律背反をひと粒に宿すコーヒー豆は、世界中を見渡してもそう多くはありません。
グァテマラはその稀有な存在のひとつ。中米に位置するこの小国には、火山灰が降り積もる肥沃な大地と、標高2,000mに届く天空の農園が点在しています。
昼夜の寒暖差が果実の甘さを濃縮し、霧と風が繊細な酸味を育ててゆく。まるでワインのグラン・クリュのように、地域ごとに際立つ“個性”が、ひときわ上質なコーヒー体験を可能にしてくれるのです。
標高1,350m以上が生む「SHB」という称号
グァテマラ豆のラベルに刻まれる「SHB(Strictly Hard Bean)」という文字。
これは、標高1,350m以上で栽培されたコーヒー豆にのみ許される、いわば“品質の証明書”です。
高地で育つ豆はゆっくりと成熟し、密度が高くなります。
結果、焙煎においても深みと複雑さが生まれ、味に立体感と持続力が備わるのです。
この“頂の結晶”ともいえるSHBは、グァテマラ豆の魅力を語る上で欠かせない要素と言えるでしょう。
8つの生産地、それぞれに宿る唯一無二の表情

グァテマラは全国的にコーヒー栽培が盛んですが、とくに「ANACAFÉ(グァテマラコーヒー協会)」が定めた8つの指定生産地が有名です。
それぞれが異なる気候・地形を持ち、味わいの傾向もまったく異なります。
アンティグア|火山に囲まれた盆地が生む、重厚な甘み
歴史ある古都に広がる名門農園の宝庫。
チョコレートやキャラメルのようなコクがあり、華やかな酸味が余韻を引き締めます。
“上品さと力強さの同居”が、この地の魅力です。
ウェウェテナンゴ|高地が育てる、繊細で透明感のある味わい
グァテマラ北西部の秘境。標高2,000m超の農園も存在し、Cup of Excellenceの常連です。
ライムやハチミツ、ベリーなどの甘やかな酸と滑らかな口当たりが特徴。
アティトラン|湖畔の風が織りなす、花の香とクリーンな酸
アティトラン湖の蒸気と山風が交差する、マイクロクライメイト(局所気候)の聖地。
ジャスミンやオレンジの花を思わせる芳香と、透明感のある味わいが際立ちます。
そのほか、以下の地域も個性派揃いです。
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コバン:雨の多い地域で、スパイシーな香りと柔らかな酸味が共存
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フライハーネス:火山性の土壌とドライな気候による、バランスの取れた風味
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アカテナンゴ:火山と太平洋からの風が交錯し、フローラルな香りが際立つ
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ヌエボ・オリエンテ:火山灰ではなく粘土質の土壌。丸みのある甘さ
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サン・マルコス:豊富な降雨と高標高。柑橘系の酸味と複雑なフレーバー
まさに“どの産地が上”という比較ではなく、“どの個性が今の気分に響くか”という問いに応えてくれる、多彩な表情を持った国なのです。
味覚を愛でるという贅沢

グァテマラ豆の味わいを言葉で表すと、「フルーティー」「チョコレート」「スパイス」「ナッツ」──と、多岐にわたります。
しかしその真価は、単なる味の羅列ではなく、ひとつのストーリーとして広がる“余韻”にこそあるのではないでしょうか。
たとえば浅煎りのアティトランをフレンチプレスで淹れると、花のようなアロマが広がり、余韻に白ブドウのような甘酸っぱさが残る。
中煎りのアンティグアをペーパードリップで味わえば、まるでカカオがとろけるような滑らかさに癒される。
一杯のなかに、幾層ものニュアンスが感じ取れるのです。
NOVOLDの“二機焙煎”が描き出す、産地の真価

NOVOLDでは、グァテマラ豆の魅力を最大限に引き出すために、2つの焙煎機を使い分けています。
Probat UG22n|重厚な甘みを直火で描く
1920年代の設計思想を受け継ぐドイツ・プロバット社製UG22n。
直火と熱伝導の組み合わせによって、アンティグアやウェウェテナンゴのような“骨格のある甘み”をしっかりと焙煎で表現できます。
甘く香ばしい余韻が、グァテマラ豆の深みに拍車をかけます。
Loring S35|酸味の透明感と香りを研ぎ澄ます
一方でLoring S35は、熱風循環式による高効率・高精度な熱コントロールが可能。
アティトランやコバンなど、繊細な酸味と香りを持つ豆を扱う際にその力を発揮します。
まるで“精密機械で描く水彩画”のように、ひと粒のニュアンスまでくっきりと引き出すことができるのです。
この二機によるアプローチが、単なる“産地紹介”では終わらない、“飲むアート”としてのコーヒーを形にしています。
サステナブルな贅沢──グァテマラを選ぶという哲学

グァテマラの多くの農園は、小規模生産者によって支えられています。
そのなかにはフェアトレード認証や、Cup of Excellenceで受賞歴を持つマイクロロットも多数存在します。
NOVOLDでは、生産者と適正な関係を結び、環境に配慮した焙煎を心がけています。
とくにLoring S35は、従来機の約80%のエネルギーで焙煎が可能。
味だけでなく、“選ぶことの美学”もまた、嗜好品としてのコーヒーを深める要素ではないでしょうか。
まとめ|グァテマラ豆、その一杯は人生の選択になる
グァテマラ産のコーヒー豆は、単なる“おいしい飲み物”ではありません。
それは、土地が持つ記憶と、職人の哲学、そしてあなたの感性が交わる、一期一会の体験です。
産地で選ぶも良し、気分で選ぶも良し。
NOVOLDでは、味覚だけでなく、その奥にある“物語”ごと味わえるコーヒーをご用意しています。

