コーヒープレスの使い方と手入れ|一杯を愛でる贅沢な時間

コーヒープレスの使い方と手入れ|一杯を愛でる贅沢な時間

コーヒープレスは、ペーパーフィルターを使わず、金属フィルターでコーヒー豆の持つ豊かなオイルまで抽出できる器具です。一般には「フレンチプレス」とも呼ばれていますが、紙で濾さないことで、豆本来の香りや口当たりをダイレクトに楽しめるのが魅力。

忙しない日常のなかで、あえて時間をかけて丁寧に淹れる――。
その一連の所作が、まるで高級時計を巻くときのように、心を整える贅沢なひとときへと変わります。

コーヒーを「飲む」だけでなく、「愛でる」ために。
本記事では、コーヒープレスの美しい使い方と、器具を長く慈しむための手入れ方法をご紹介します。


コーヒープレスで楽しめる、上質な味わいとは

ペーパーフィルターを通すコーヒーは、雑味を排除したクリアな味わいになりますが、コーヒープレスはオイルも一緒に抽出されるため、よりコク深く、滑らかな口当たりが得られます。

香りは広がり、口に含んだ瞬間、豆の個性が豊かに感じられる――。
上質なシングルオリジンや、希少なスペシャルティコーヒーの魅力を余すことなく味わいたい方にこそ、ふさわしい抽出器具と言えるでしょう。


コーヒープレスの美しい使い方|贅沢な4つの所作

STEP1|豆を挽く ―「粗挽き」が基本

コーヒープレスには、粗挽きの豆が最適です。細かすぎると金属フィルターを通り抜けてしまい、口当たりが粉っぽくなることも。ザラメ程度の粒感が理想です。

淹れる直前に挽くことで、香りが最も高く、味わいも鮮やかに。

STEP2|お湯を注ぐ ― 所作を整える時間

お湯は92〜96℃が適温。高すぎると苦味が強く、低すぎると香りが引き立ちません。
静かに、丁寧に、ゆっくりとお湯を注ぐ所作は、まさに愛でるための儀式。

注いだら、スプーンで軽く撹拌し、粉全体にお湯をなじませます。

STEP3|蒸らしと抽出 ― 4分の贅沢な待ち時間

粉を蒸らしながら、約4分間、じっくりと抽出します。
時計の針を眺めながら、漂う香りを楽しむ――。
この時間を惜しまず待てることが、大人の余裕です。

STEP4|プレスとサーブ ― 美しく仕上げる

プランジャー(押し下げ棒)をゆっくりと、均一のスピードで下ろします。
勢いよく押すと微粉が混ざりやすいため、静かに、優雅に。

サーブする瞬間も、丁寧に。香りを逃さぬよう、カップに静かに注ぎましょう。


コーヒープレスの手入れ|美しさを保つための習慣

コーヒープレスは、使った後の手入れがとても大切です。
油分が残りやすく、放置すると酸化し、次回の味わいに雑味を残してしまうことも。

手入れの基本|使い終わったらすぐ洗う

抽出後はなるべく早く、コーヒーかすを捨てましょう。
コーヒーオイルは時間が経つほど酸化しやすく、器具に臭いや汚れを残します。

豆を愛する人なら、器具もすぐに綺麗にすることが、美しい一杯のための第一歩。

パーツごとの洗浄方法|分解・洗浄・乾燥を丁寧に

コーヒープレスは、以下のパーツに分解して洗うのが理想です。

  • ガラス容器(またはステンレス容器)

  • 金属フィルター

  • シャフト

  • ゴムパッキン(機種による)

金属フィルターは、目詰まりしやすいため、やわらかいスポンジで丁寧に洗いましょう。
お湯でしっかりすすぎ、自然乾燥させれば清潔に保てます。

臭いが気になる場合は、重曹やクエン酸を使った浸け置き洗いもおすすめです。

長く愛用するためのメンテナンス

週に一度、細かなパーツを分解し、重曹を溶かしたぬるま湯に浸しておくと、油分が綺麗に取れます。

フィルターやパッキンは消耗品。数年に一度の交換を推奨します。
しっかりと手入れを続けることで、あなたのコーヒープレスは、年月を重ねるほどに愛着を増していくでしょう。


よくある質問|コーヒープレスのお手入れQ&A

Q. 食器用洗剤を使ってもいいですか?

A. 基本的にはお湯だけでも油分は落とせますが、食器用洗剤も使用可能です。ただし香料の強い洗剤は器具に残ることがあるため、無香料タイプをおすすめします。

Q. 臭いが取れない場合はどうすれば?

A. 重曹・クエン酸・コーヒー専用クリーナーでの浸け置き洗浄を。頑固な臭いは複数回の繰り返しで落とせます。

Q. ガラス製とステンレス製、手入れしやすいのはどっち?

A. ガラス製はコーヒーの色や量が見えて美しい反面、割れやすいのが難点。ステンレス製は丈夫で熱保温性も高く、パーツ数が少ないためお手入れが簡単です。


まとめ|所作を大切に、一杯を愛でる

コーヒープレスは、ただの抽出器具ではありません。
豆を選び、挽き、ゆっくりとお湯を注ぎ、香りとともに抽出を待つ――この一連の所作そのものが、贅沢で、美しい時間。

そして、使い終えた器具を丁寧に手入れし、また次の一杯を楽しみに迎える。
その積み重ねが、あなたとコーヒーとの距離をより近づけてくれるはずです。

「愛でるように飲むコーヒー」は、こうして日々、育まれていきます。

 

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