コーヒー豆の焙煎度合い一覧|8段階で味と香りを極める“NOVOLD流ロースト”完全ガイド
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コーヒーの味は、豆の産地や品種だけで決まるわけではありません。最も大きな影響を与えるのが、「焙煎(ロースト)」です。
生豆に火を入れることで、あの芳醇な香りと深い味わいが生まれます。
焙煎とは、単なる加熱ではありません。豆の内部に眠る個性を、引き出すか、抑えるか。その匙加減が、すべての味に影響する。まさに、火を操る芸術と言えるでしょう。
焙煎度合い一覧(8段階)と味わいチャート

コーヒーの焙煎度は一般的に8段階に分けられ、それぞれが異なる味と香りを生み出します。
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焙煎度 |
色合い |
味の特徴 |
香り |
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ライト |
明るい茶色 |
非常に酸味が強く、軽やか |
柑橘系やフローラル |
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シナモン |
明るい茶褐色 |
果実感と青みを残す |
若々しく爽やか |
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ミディアム |
中間的な茶色 |
柔らかなコクと軽い苦味 |
ナッツや紅茶 |
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ハイ |
やや濃い茶色 |
バランスの取れた味わい |
チョコレート系 |
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シティ |
深みのある茶褐色 |
苦味と甘味が増す |
キャラメル香 |
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フルシティ |
ダークブラウン |
強い苦味とコク |
焦がし砂糖、スモーキー |
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フレンチ |
黒に近い |
ほぼ苦味とコクのみ |
煙やカカオ |
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イタリアン |
真っ黒 |
非常に強い苦味 |
焦げ感、スモーク |
浅煎りに進むほど酸味が際立ち、深煎りに進むほど苦味とボディ感が強くなります。色合い・香りの変化を目で見て、香りで嗅ぎ分ける楽しみも、嗜好品としての醍醐味です。
NOVOLDが描く、焙煎度と香味の関係

NOVOLDでは、2つの焙煎機を使い分けることで、焙煎度の微細な表現に挑んでいます。
ひとつは、ヴィンテージの「Probat UG22n」。1950年代にドイツで設計された鋳鉄製ドラムは、遠赤外線の熱が豆の芯まで届き、まるで熟成肉のような奥行きある甘さを引き出します。重厚で、静かに広がる旨味。深煎りの世界を豊かに彩る、まさに“味の彫刻刀”です。
もうひとつが、最先端の「Loring S35 Kestrel」。アメリカ発のスマートロースターで、対流熱とマイクロ制御によって焙煎プロファイルを1秒単位で操れます。酸味の輪郭がくっきりと残り、フルーティさや透明感を損なわない。まるで香水を調香するような精密な焙煎を可能にします。
この2台を使い分けることで、浅煎りの繊細さから深煎りの重厚感まで、焙煎度それぞれの魅力を最大限に引き出しているのです。
NOVOLD焙煎士が語る「8段階ロースト」の真価

ライトロースト|繊細な酸味と花束のような余韻(Loring)
青リンゴやカモミールのような香り。果実が開く瞬間を閉じ込めたかのような透明感。Loringでしか出せない「輪郭ある酸」。
シナモンロースト|若々しい果実感とみずみずしさ(Loring)
完熟前のイチジクのような、みずみずしい酸味。浅煎り初心者にはやや尖って感じられるかもしれませんが、慣れるほど癖になります。
ミディアムロースト|紅茶のように滑らかなコク(Loring)
柑橘から紅茶、そして仄かなビスケット香へ。ティータイムのような軽やかさと甘みが同居するロースト。
ハイロースト|バランスが際立つ、香ばしさと甘み(Probat)
Probatで焼き上げたこのゾーンから、豆の持つ“旨味”が一気に開花。酸と苦味の調和が取れた、万人に薦められる中煎り。
シティロースト|カラメルを思わせる重厚な香り(Probat)
甘さが増し、口当たりが円くなる。キャラメルやローストナッツのような香りが広がり、ドリップにも最適。
フルシティロースト|焦がし砂糖とビターの深層(Probat)
焙煎士の腕が問われる領域。焦げ一歩手前で止める火加減が、ビターチョコのような艶やかさを作る。
フレンチロースト|洋酒のような艶と落ち着き(Probat)
苦味が前面に出る深煎りだが、奥にはラムやブランデーを思わせる円熟したコクが広がる。葉巻との相性も絶妙。
イタリアンロースト|力強くも静寂な苦味(Probat)
極限の火入れで、豆は黒光りするほど。苦味の中に仄かな甘さと炭の香り。エスプレッソに最適。
味わいで選ぶ、あなたのための“ロースト”とは

焙煎度は単なる分類ではなく、「どんな時間を過ごしたいか」という気分の表現でもあります。
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朝の目覚めに、柑橘系の酸味を楽しむなら「ライト〜ミディアム」
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仕事終わりのくつろぎに、ナッツやカラメル香の「シティ〜フルシティ」
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静寂な夜、葉巻と共に味わうなら「フレンチ〜イタリアン」
抽出器具とも相性があります。
ハンドドリップなら中煎り、エスプレッソなら深煎り。好みに合わせて、焙煎度を選ぶ楽しみもまた、コーヒーの豊かさです。
まとめ|焙煎を知ることは、贅沢を知ること

焙煎とは、豆の個性を“どう魅せるか”という美学。
NOVOLDが愛する二台の焙煎機は、それぞれ異なる哲学で一杯を形にします。
焙煎度を知ることは、単に味の好みを知ることではありません。
その奥にある作り手の思想や、火と時間の対話までも感じ取ること。
ぜひあなたの一杯を、焙煎から愛でてみてください。
それは、コーヒーがただの飲み物ではなく、人生の愉しみであると気づくきっかけになるはずです。

