酸味が少ないコーヒー豆とは|熟成したまろやかさを嗜む、上質な一杯の選び方
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酸味が気になるあなたへ。まろやかで芳醇なコーヒーを求めて
「酸味の強いコーヒーは苦手だ」と感じた経験はありませんか?
確かに、舌を刺すような酸味は、ときに不快な後味を残します。けれど本来の“酸”とは、決してネガティブな要素ではありません。ワインやシガーのように、成熟と共に角が取れ、奥行きを深める味わいの一部なのです。
今回は、「酸味が少ないコーヒー豆」をお探しの方に向けて、ただ“強い酸味を避ける”だけではない、“大人の嗜み”としてのコーヒーの世界をご案内します。
コーヒーの酸味とは何か|避けるのではなく“育てる”価値

酸味=ネガティブとは限らない
酸味の原因となる成分の多くは、クロロゲン酸やリンゴ酸などの有機酸。これらは生豆に豊富に含まれ、焙煎や抽出によって風味の変化を遂げます。
しかし、未熟な豆や品質劣化した豆では、ツンとした刺激や嫌な酸っぱさを生みやすく、「酸味=苦手」という印象を与えてしまうことも少なくありません。
熟成で変わる、酸味のとらえ方
良質な酸は、ワインにおけるタンニンのように、時間や熱を加えることで丸みを帯び、甘みを引き立てる存在へと変わります。焙煎の深さだけでなく、熱のかけ方、冷却のスピード、湿度や保存環境までが、酸の“育ち方”を左右するのです。
酸味が少ないコーヒーを選ぶための3つの視点

1|焙煎度で酸味は大きく変わる
酸味を和らげたいなら、まず注目すべきは焙煎度。一般的に、浅煎りほど酸が立ちやすく、深煎りにするほど酸味は穏やかになり、苦味とコクが前に出てきます。
特に「フルシティロースト(中深煎り)」から「フレンチロースト(深煎り)」にかけては、酸味がほとんど気にならず、重厚な味わいを楽しめる領域です。
2|産地と品種を見極める
ブラジルやインドネシア(とくにスマトラ島のマンデリン)は、もともと酸味が控えめで、ナッツやチョコのようなフレーバーが感じられる傾向があります。
一方、エチオピアやケニアの豆はフルーティで明るい酸を含むことが多いため、苦味やコクを重視したい方は避けたほうがよいかもしれません。
3|焙煎技術の違いが決め手に
同じ産地・同じ焙煎度でも、“誰がどう焼いたか”によって味はまったく異なります。熟練の職人が焙煎工程の中で酸味をコントロールし、角を取り除いて丸みを引き出せるかどうか——この一点に味の品格が現れます。
NOVOLDが追求する“酸味を抑えた上質な一杯”とは

遠赤の熱が生む、包み込むような甘さ|プロバットUG22n
NOVOLDでは、1950年代製のヴィンテージ焙煎機「プロバットUG22n」を現役で運用しています。鋳鉄ドラムの遠赤外線効果により、豆の芯までじっくり熱を伝えることで、酸味の角をそっと削り、甘みとコクを滑らかに引き出します。
時間をかけて“熟成させるように焼く”この技法は、酸味を嫌う方にこそ味わってほしい上質な仕上がりを生みます。
味の輪郭を整える、革新的焙煎|Loring S35 Kestrel
一方で、アメリカ製のLoring S35 Kestrelは、近代的な焙煎哲学を体現した機体。熱風による高効率加熱と、特許技術Flavor-Lock™によって、スモーキーさを抑えつつ、雑味のないクリーンな味わいに仕上がります。
この焙煎では、酸味を“取り除く”のではなく“曖昧にしない”。上質な酸をあえて残しつつも、余韻を尖らせない、研ぎ澄まされた味の輪郭が感じられるでしょう。
焙煎士が“火の時間軸”で味を描く
NOVOLDでは、一杯の味わいを設計図のように描きながら、焙煎を調整します。気温、湿度、豆の水分値に応じて、1秒単位で火力と排気を微調整。酸味は削るものではなく、“なじませるもの”という思想が、焙煎のすべてに貫かれています。
酸味が少ないコーヒー豆のおすすめ|シーンで選ぶ珠玉のセレクション
【coming soon】
酸味の少ない豆を、もっと楽しむための一杯の工夫

お湯の温度でも酸味は変わる
同じ豆でも、92℃前後のお湯で淹れれば酸味が立ち、85℃前後ではまろやかに。お湯の温度と抽出時間で、酸味の印象はコントロールできます。
グラスとフードペアリングで、印象を調和させる
苦味の強いコーヒーには、ナッツやチーズとの組み合わせが抜群。薄手の磁器カップやワイングラスを使えば、香り立ちも上質に。
まとめ|酸味が少ない=“奥深い旨味”の入り口
酸味のないコーヒーとは、ただ“尖っていない”だけではありません。
熟成したまろやかさと甘み、そして焙煎士の技術によって描かれる深みがあるからこそ、ひとくちの余韻が記憶に残ります。
シガーを燻らせるように。ワインを寝かせるように。
“酸味が少ない”コーヒーは、あなたの嗜好の幅を静かに広げてくれるはずです。

