コーヒー豆と抽出量の黄金比|一杯を“設計”するという愉しみ

コーヒー豆と抽出量の黄金比|一杯を“設計”するという愉しみ

コーヒーは、ただ「淹れる」ものではありません。
それは、香り・質感・温度・時間、そして“抽出量”という設計値を操る芸術です。

同じ豆でも、わずか数グラムの違いで表情は一変します。
酸が立ち上がるか、甘みが残るか。
「量」を測ることは、味を“愛でる”ことそのもの──。
今回は、最高の一杯を生む「抽出量」の考え方を、NOVOLDの焙煎哲学とともに紐解きます。

 

抽出量とは──味を決める“設計値”

抽出量とは、コーヒー豆に対してどれだけのお湯を使うかを指します。
この比率を「抽出比(コーヒー:お湯=1:〇)」と呼び、味の方向性を決める根幹になります。

たとえば同じ豆を使っても──

  • 1:15(濃い比率)なら…甘みとコクが際立つ

  • 1:17(薄い比率)なら…透明感が出て軽やかに

つまり抽出量は、“濃度”を決める数値ではなく、
その一杯の質感と余韻を決定する芸術的パラメータです。

 

一般的なコーヒーの豆量とお湯の比率

多くのバリスタや焙煎士が推奨する黄金比は、1:15〜1:17
1gのコーヒー豆に対して、15〜17g(ml)のお湯を注ぐのが基本です。

抽出比

味の印象

向いているスタイル

1:15

濃厚・重厚・甘みが強い

深煎り豆、アイスコーヒー

1:16

バランス良好

中煎り〜中深煎り

1:17

軽やか・爽やか

浅煎り豆、フルーティー系

同じ“抽出量”でも、豆の焙煎度や品種によって理想の比率は変わります。
そのわずかな差を感じ取る瞬間に、嗜好品としてのコーヒーの深さが宿るのです。

 

抽出量による味の違い|“濃度”ではなく“質感”を整える

抽出量を増減させると、単に味が「濃い」「薄い」になるのではなく、
口当たり・舌触り・香りの立ち方が変化します。

  • 抽出量を少なく(1:15前後) → 粘度が増し、シロップのような甘み

  • 抽出量を多く(1:17〜1:18) → 爽やかでクリーンな酸味

たとえば、エチオピア・アリーチャ ナチュラル(NOVOLD取扱)は、1:17で花のように広がり、
ブラジル・山口農園は1:15でキャラメルのような甘香が際立ちます。

数mlの違いが、まるでワインのヴィンテージを変えるように、
味の構造を変えるのです。

 

器具別の最適抽出量

器具

豆量

お湯の量

特徴

ドリップ(ハンド)

15g

230ml

バランス重視。1:15〜1:16が目安

フレンチプレス

20g

300ml

1:15前後でオイル感を活かす

エスプレッソ

18g

約36ml

1:2〜1:2.5で濃密な甘苦さ

水出しコーヒー

50g

750ml

長時間抽出のため1:15程度が安定

どの器具でも重要なのは「一貫した比率で繰り返すこと」。
同じ条件で抽出を続けると、自分の“理想の味”が浮かび上がってきます。

 

NOVOLDの焙煎豆で味わう“抽出量の美学”

徳島ブラジルコーヒが誇る2台の焙煎機──
Probat UG22n(1971年製)とLoring S35 Kestrel(2017年製)
この“古きと新しき”の融合が、抽出量のわずかな差にまで豊かな表情を与えます。

  • Probat UG22n 焙煎豆
     鋳鉄ドラムが育む深いコクと甘み。
     1:16の抽出で、口の中を包み込むような丸みと余韻。
     例:ブラジル 山口農園、マンデリン エスペシャル。

  • Loring S35 Kestrel 焙煎豆
     熱風循環と精密制御によるクリアな味わい。
     1:15〜1:17で、豆の個性を繊細に描き出す。
     例:エチオピア アリーチャ、コスタリカ グラナディージャ農園。

どちらも焙煎機ごとに最も美しく響く抽出比があり、
その微調整こそが、“愛でるように味わう”コーヒーの核心です。

 

最後に──量を測ることは、味を愛でること

抽出量を整える行為は、単なる計測ではありません。
それは、豆に込められた農園の時間と焙煎士の技を尊ぶ儀式のようなものです。

1gの豆、1mlのお湯が、香りと質感の輪郭を変えていく。
「量」を通して、味を愛で、心を整える。
嗜好品としてのコーヒーの愉しみは、まさにその繊細なバランスの中にあります。

 

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