【ロースター解説】サイフォンコーヒーの仕組みとは?「理科の実験」が生み出す極上の香り
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喫茶店のカウンターで、フラスコの中のお湯が沸き上がり、粉と混ざり合って再び戻ってくる……。まるで理科の実験のような美しい抽出風景を見たことはありませんか?
あれが「サイフォン」です。
一見難しそうに見えますが、実はハンドドリップよりも味がブレにくく、「高級な豆の香りを最も引き出せる」抽出方法の一つなのです。
今回は、創業90年の歴史を持つNOVOLD COFFEE ROASTERSが、そのドラマチックな抽出の裏側にある「仕組み」と、なぜそれで美味しくなるのかを解説します。
サイフォンの仕組み:なぜお湯が上下するのか?

サイフォン最大の特徴である「お湯の移動」は、実はとてもシンプルな空気の膨張と収縮の力を使っています。
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加熱と上昇(空気の膨張)
下のフラスコに入ったお湯を加熱すると、内部の空気が温められて膨張します。膨らんだ空気に押し出されるようにして、お湯が管を通って上のロートへと上がっていきます。 -
抽出(浸漬)
上がりきったお湯は、ロートの中でコーヒー粉と混ざり合います。ここで一定時間、お湯と粉を漬け込むことで成分を抽出します。 -
濾過と下降(空気の収縮)
加熱を止めると、下のフラスコの空気が冷えて収縮します(元に戻ろうとします)。すると真空状態のような吸引力が生まれ、上にあるコーヒー液がフィルターで濾過されながら、一気に下のフラスコへと吸い戻されます。
ハンドドリップとはここが違う!「味」の決定的な差

この仕組みが、コーヒーの味にどのような魔法をかけるのでしょうか。
① 香りが爆発する「高温抽出」
ハンドドリップでは90℃前後のお湯を使いますが、サイフォンは沸騰したお湯が上がるため、抽出温度が非常に高くなります。
高温のお湯は香りの成分(アロマ)を気化させる力が強いため、出来上がったコーヒーからは、部屋中に広がるほどの強烈で華やかな香りが立ち上ります。
② 豆の個性を出し切る「浸漬(しんし)法」
ハンドドリップは「透過式」といって、お湯が粉を通過する一瞬で成分を抜き取ります。
対してサイフォンは、お湯の中に粉をしっかり漬け込む「浸漬式」。フレンチプレスと同じ原理で、豆の成分を余すことなくお湯に移すことができます。テクニックによる味の差が出にくく、「誰でも同じ味が再現できる」のも大きなメリットです。
③ ネルフィルターが生む「極上の口当たり」
サイフォンの多くは布(ネル)のフィルターを使用します。
ペーパーよりも目が粗いため、コーヒーオイル(旨味を含んだ油分)を適度に通し、驚くほどまろやかで滑らかな口当たりに仕上がります。
サイフォンの仕組みが引き出すNOVOLD豆のポテンシャル

この「高温・浸漬・ネル」というサイフォンの特徴は、NOVOLDのコーヒー豆と相性抜群です。
特に、当店の最新鋭焙煎機「Loring(ローリング)」で焼かれた豆は、芯まで均一に火が通っているため、高温で抽出しても焦げ臭さや嫌な雑味が出ません。
サイフォンの強い抽出力が、Loring焙煎特有の「雑味のないクリーンな甘み」と「鮮烈なアロマ」を極限まで引き出してくれます。
サイフォンで飲んでほしいおすすめ銘柄
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[エチオピア イルガチェフェ アリーチャ]
高温抽出により、ジャスミンやベリーのようなフローラルな香りが爆発的に広がります。 -
[コスタリカ グラナディージャ]
ハニープロセスによる甘みと、スッキリとした酸味のバランスが際立ちます。
自宅でサイフォンを始めるには?

「家でやるのは大変そう……」と思われがちですが、器具さえあれば意外と簡単です。
今回は、世界中のプロが愛用し、パーツの入手もしやすいHARIO(ハリオ)の製品をご紹介します。
(※カリタは現在、家庭用サイフォンの主力ラインナップが少ないため、実績と信頼性のあるハリオをおすすめしています)
① HARIO コーヒーサイフォン「テクニカ」

日本の喫茶店文化を支えてきた名機。業務用としても使われる耐久性と、クラシカルなデザインが魅力です。サイズも2人用から5人用まで豊富です。
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商品ページ:HARIO コーヒーサイフォン テクニカ(※メーカー公式)
② HARIO コーヒーサイフォン「モカ」

「テクニカ」よりも丸みを帯びたデザインが特徴。構造は同じですが、少し優しい雰囲気でキッチンのインテリアにも馴染みやすいモデルです。
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商品ページ:HARIO コーヒーサイフォン モカ 3人用(※メーカー公式)
熱源について
サイフォンには熱源が必要です。
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アルコールランプ:最も手軽で安価。ゆらめく炎を楽しめます。(上記のサイフォン本体に付属していることが多いです)
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ビームヒーター:ハロゲンランプの熱で抽出する電気式。火を使わないので安全で、赤い光が幻想的です。本格的に楽しみたい方へ。
まとめ
フラスコの中で上下するコーヒーを眺めながら、立ち上る香りに包まれる。
サイフォンで淹れる時間は、単なるコーヒーブレイクを超えた「極上のエンターテインメント」です。
その仕組みを知れば、コーヒーはもっと美味しくなります。ぜひNOVOLDの豆で、科学と情熱が生み出す一杯を体験してみてください。



