キャラメルとヘーゼルナッツを思わせる、まろやかな甘さ。酸味は控えめで、毎日ブラックで飲んでも飽きがこない。それがブラジル 山口農園です。明るい酸やフルーツの香りを主役にした一杯ではなく、静かな甘さが最後まで続くタイプ。朝の一杯を決めておきたい方に向いています。

ナッツとチョコの甘さは、どの瞬間に立ち上がるか

一口目は、アーモンドとヘーゼルナッツの穏やかなナッツ感。角のない入り方で、鼻に抜ける香りもおとなしく、いきなり主張してくるタイプではありません。
中盤にかけて、ミルクチョコレートのような甘めのチョコ感がふくらみます。ここが山口農園のいちばん機嫌のいいところ。キャラメルとブラウンシュガーを思わせる甘さが重なり、口のなかがゆっくり満たされていきます。酸味は控えめ。フルーティーさもごくわずかにしか顔を出しません。
冷めたときにも輪郭が崩れないのがこの豆の面白さです。温度が下がると甘さの密度が上がり、キャラメルの印象がはっきりしてきます。飲みかけを置いてしまっても、雑味が立ち上がってくるような気配がない。
余韻はやわらかく、すっと引きます。ナッツの香ばしさが最後にもう一度だけ戻ってきて、後を引かずに消える。飲み終えたあとの印象を一言にすると、まろやかでクリーン。
ブラジル 山口農園の豆のプロフィール(早見表)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 産地 | ブラジル |
| 地域 | ミナスジェライス州セラード地域 |
| 農園 | 山口農園(日系人生産者による共同栽培) |
| 標高 | 940m |
| 品種 | ブルボン |
| 精製 | ナチュラル(自然乾燥式) |
| 焙煎度 | 中煎り |
| 推奨抽出 | ハンドドリップ:豆15g/湯225ml(1:15)/92℃/蒸らし30秒/合計2:30 | フレンチプレス:豆15g/湯250ml/92℃/4分 | 挽き目:中挽き |
産地はミナスジェライス州セラード地域、標高940m

この豆が育つのは、ブラジル・ミナスジェライス州のセラード地域(Cerrado Mineiro)。標高は940mです。山口農園はこの高原に広がる農園で、日系人の生産者たちが共同栽培というかたちで営んでいます。
NOVOLD が仕入れているのは、そのなかでも農園がとくに条件のよい一区画として指定した豆。産地と品種と精製方法、この三つが交差する場所に山口農園という名前があります。次の章では、誰がどう作っているのかを見ていきます。
精製方法そのものの違いを知りたい方は、コーヒーの精製方法を全解説 — ナチュラル・ウォッシュド・ハニー・スマトラ式・アナエロビックの味の違いもあわせてどうぞ。
誰がどう作っているか|日系人生産者が守るブルボンとナチュラル

山口農園を営むのは、ブラジルに渡った日系人の生産者たち。共同栽培としてスタートし、トラディショナルな品種であるブルボンを守り続けてきました。守るという言葉には理由があります。品種を切り替えれば済む場面でも切り替えなかった、という選択の積み重ねだからです。
精製はナチュラル(自然乾燥式)。この豆の味の中心にあるのは、ナチュラル由来の柔らかい甘味です。ナッツやチョコレートとして感じられる甘さの土台が、ここにあります。
そして、農園のなかで一番良い区画を指定したうえでの、厳しい管理。品種を守る。精製を守る。区画を選ぶ。この三つが揃って、いま手元にある200gになっています。
品種と産地と焙煎がどう味に効いてくるかは、コーヒー豆の品種・産地・焙煎の関係|種類で変わる味と香りのガイドで整理しています。
NOVOLD の焙煎|Loring S35 Kestrel と中煎り

この豆の味の中心は、ナチュラル由来の柔らかい甘味です。NOVOLD はこの豆を Loring S35 Kestrel で中煎りに焼いています。Loring は、単一のバーナーで焙煎と排煙焼却を同時に行う特許技術「Flavor-Lock Roast Process™」を備えた焙煎機。焙煎中の煙による風味への影響を抑える設計です。
方式は対流式。精密に制御された熱風を焙煎ドラム内で循環させて豆を加熱します。豆一粒一粒に均一に熱が入るため、豆ごとの焼きムラも、豆の内側と外側の焼きムラも排除される設計です。操作はタッチスクリーン式で、温度・時間・ファン速度を0.1℃、1秒単位で自動制御(PID制御)。一度決めた焙煎レシピを、バッチが変わっても同じようになぞれます。着地点は中煎りです。

焙煎を担当するのは、三代目の焙煎士・櫻井健司。この豆について、こう言います。「LORINGで中煎りに焙煎することで、まろやかで、ほんのりキャラメルやヘーゼルナッツを思わせる味わいに仕上げました。毎日ブラックで飲んでも飽きのこない一杯です」
NOVOLD には性格の異なる二台の焙煎機があり、深く焼き込む豆を受け持つのは Probat。この豆は Loring で中煎りに仕上げています。二台の詳細はProbat UG22n × Loring S35 Kestrelのページにまとめました。
いちばん美味しく淹れる|92℃・中挽きの数値レシピ

まずはハンドドリップから。豆15g/湯225ml(比率1:15)/湯温92℃/挽き目は中挽き/蒸らし30秒/合計2分30秒。蒸らしは湯を30〜40mlほど落として全体を湿らせ、30秒待つ。あとは中心から外へ、円を広げるように、湯面を切らさない程度のペースで注いでいきます。2分30秒で落としきる想定です。
甘さの厚みを楽しみたい日は、フレンチプレスに切り替えてください。豆15g/湯250ml/湯温92℃/4分。粉を入れて湯を一気に注ぎ、4分待ってからプランジャーを押し下げるだけ。ペーパーが吸ってしまう油分がカップに残るので、キャラメルの印象がより前に出ます。
湯温は92℃を基準に。低くしすぎると甘さが出きらず、高くしすぎると香ばしさが尖ります。
合わせたい食べ物と、飲む時間

ナッツ感、ミルクチョコレートの甘さ、控えめな酸味。この輪郭から考えると、合わせる相手は難しくありません。
ひとつめはナッツの入った焼き菓子。フロランタンやアーモンドのビスコッティのように、香ばしさが共通しているものは素直に重なります。ふたつめはミルクチョコレート。カップのなかのチョコ感と同じ方向なので、甘さが喧嘩しません。カカオ分の高いビターチョコよりも、ミルクの入ったタイプのほうが相性がいい。みっつめはバターを使ったパン、クロワッサンやトースト。朝食の卓で、いちばん出番が多い組み合わせです。
飲む時間は、やはり朝。キッチンに立ってお湯を沸かすところから一日が始まる、あの時間に置いてちょうどいい一杯です。ミルクとの相性もよいので、カフェオレにして午後に飲むのもおすすめ。とはいえ焙煎士の言葉どおり、この豆の本領はブラックで毎日飲むことにあります。
他の銘柄とどう違うか|飲み比べで見える立ち位置
山口農園がどのあたりに立っている豆なのかは、他の銘柄と並べるとはっきりします。
ひとつはエチオピア アリーチャ ナチュラル|イルガチェフェのブルーベリー感を楽しむ。同じナチュラル精製でも、こちらはブルーベリーを思わせる華やかさが主役になります。酸味は山口農園がはっきり控えめなのに対し、アリーチャは明るい酸が前に出る側。甘さの質も違って、山口農園はキャラメルやブラウンシュガー系、アリーチャは果実の甘さです。コクはどちらも重量級ではありませんが、山口農園のほうが口当たりに丸みがあります。
もうひとつはブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル|ワインのような香りの正体。同じブラジル、同じナチュラルでも、アナエロビックはワインのような香りが立ち上がる個性派です。山口農園は王道のナチュラル。酸味は控えめ、甘さは素直、コクは穏やか。飲み手を驚かせにいかない設計です。
逆に言えば、明るい酸やフルーツ感を求めている方、浅煎りの華やかさを探している方には向きません。この豆はフルーティーさがごくわずかで、甘さと香ばしさで勝負するタイプ。刺激より安定を選ぶ日の一杯だと思ってください。
どれが自分に合うか迷ったら、100gずつ3種を選べるお試しパックから始めるのが早道です。なお、こちらはお一人様2回までのご購入とさせていただいています。
よくある質問
Q. 山口農園はどんな人に向いていますか? どんな人には向きませんか?
ブラックで毎日飲む一杯を探している方に、まず向いています。酸味が控えめでフルーティーさもごくわずかなので、飲み疲れしにくいタイプ。ミルクと合わせたい方にも合います。一方で、明るい酸やフルーツのような香りを楽しみたい方には物足りなく感じられるはずです。その日の気分で刺激を求めるより、いつもの味を決めておきたい方向けの豆だとお考えください。
Q. どんな品種・精製方法のコーヒーですか?
品種はブルボン、精製はナチュラル(自然乾燥式)です。味の中心にあるのは、ナチュラル由来の柔らかい甘味。キャラメルやヘーゼルナッツを思わせる風味は、この甘さの上に乗っています。
Q. おすすめの淹れ方は?
ペーパードリップなら、中挽き・湯温92℃で、豆15gに湯225ml。蒸らし30秒を挟んで合計2分30秒が目安です。フレンチプレスにするなら豆15g・湯250ml・92℃で4分。ミルクとの相性もよいので、カフェオレにしても楽しめます。
Q. 200gでどのくらい飲めますか?
1杯あたり豆15gで淹れる計算なら、200gでおよそ13杯分。毎朝1杯のペースなら、2週間ほどのおつきあいになります。
NOVOLD COFFEE ROASTERSの強みは、性質の異なる二台の焙煎機を豆ごとに使い分ける「温故知新」の哲学にあります。
ドイツ製の Probat UG22n が受け持つのは、深く焼き込んだ豆の厚みのある味わい。
最新鋭 Loring S35 Kestrel は、精密な熱風制御で焙煎ムラを抑え、煙の影響を排した焙煎を行う設計です。
新旧二機を三代目・櫻井健司が焼き分け、浅煎りから深煎りまで、それぞれの豆が持つ最良の表情を引き出しています。




