「みんな『ベリーの風味がする』とか言うけど、自分にはただのコーヒーにしか感じられない」。そんな不安を抱えていませんか。味がわからないのは、舌の問題ではありません。ちょっとした「コツ」と「習慣」で、コーヒーの味覚は誰でも開花させることができます。
味がわからないのは舌のせいではない

まず安心してほしいのは、「味がわからない=舌が鈍い」ではないということ。人間の舌は、生理学的にはほぼ同等の味覚受容体を持っています。プロのカッパーと一般の方の舌の構造に、大きな差はないのです。
では何が違うのか。それは二つあります。ひとつは「言語化」の経験。味を感じていても、それを言葉に結びつける回路ができていないと、「なんとなく美味しい」で止まってしまいます。もうひとつは「比較体験」の量。一種類のコーヒーだけを飲み続けていると、味の基準が一つしかないため違いに気づけない。
つまり、味覚を鍛えるとは「舌を鍛える」ことではなく、「感じたことを言葉にする力」と「異なる味を比較する経験」を増やすこと。これなら、特別な才能は要りません。
【ステップ1 】まず「甘い・酸っぱい・苦い」から始める
最初から「ブルーベリーのニュアンス」や「ジャスミンの余韻」を感じ取ろうとする必要はありません。まずは、コーヒーの基本三味覚に集中することから始めましょう。
コーヒーを一口飲んだら、こう自問してみてください。「これは甘い? 酸っぱい? 苦い? この三つの中で、一番強く感じるのはどれだろう?」
たったこれだけ。しかし意識的にこの質問を自分に投げかけるだけで、味覚の「解像度」が一段上がります。なんとなく飲んでいた時には気づかなかった甘みに気づいたり、苦味だと思っていたものの奥に酸味が隠れていることに気づいたり。
このエクササイズを毎日のコーヒータイムで続けてみてください。一週間もすると、「今日のコーヒーは昨日より甘い気がする」といった微妙な変化にも気づけるようになるはずです。
【ステップ2】2種類を同時に飲み比べる

基本の三味覚が掴めてきたら、次のステップは「飲み比べ」です。
同じ条件(同じ挽き具合、同じ湯温、同じ分量)で2種類の異なる銘柄を淹れ、交互に飲んでみてください。一種類だけを飲んでいるときにはわからなかった違いが、比較することで鮮明に浮かび上がります。
たとえばブラジル山口農園とエチオピア アリーチャ村を並べてみる。山口農園を飲んでから、アリーチャ村を一口。「あ、こっちのほうが明るい。酸味が違う。華やかな何かがある」。その「何か」を言葉にする練習が、味覚の解像度をぐんぐん上げていきます。
最初は「こっちのほうが好き」「こっちのほうが苦い」程度で構いません。比較する行為そのものが、味覚のトレーニングになっているのです。
【ステップ3】フレーバーチャートで言葉にする
飲み比べで「違い」が感じ取れるようになったら、次はその違いを具体的な言葉に落とし込む作業です。ここで活用したいのが、NOVOLD COFFEE ROASTERSの味覚チャート(5段階)。
ブラジル山口農園は甘味4・香り3・コク2・酸味2・苦味2。この数字を手がかりに推理してみましょう。「甘味が4ということは、この柔らかい感じは甘みなんだ。チョコレート? いや、ナッツに近いかも。アーモンドっぽい……」。
エチオピア アリーチャ村は酸味4・甘味4・香り4。「酸味4だからこの華やかな感じは酸味か。フルーツっぽい。ベリー? ブルーベリーかもしれない。そして香りが4、この花のような香りは……ジャスミン?」。
マンデリン エスペシャルはコク4・苦味3。「コク4、確かに重い。口の中がずっしりする。苦味3だから苦いけど、嫌じゃない。チョコレート、それもダークチョコレート」。
正解・不正解は気にしなくて大丈夫。「推理すること」自体が味覚の回路を育てるのです。
NCRの飲み比べセットで味覚トレーニング

味覚トレーニングに必要なのは、「味の違いが明確な」教材です。NOVOLD COFFEE ROASTERSの6銘柄は、まさにその条件を満たしています。
ブラジル山口農園(ナッツ・チョコ)、エチオピア アリーチャ村(ベリー・フローラル)、マンデリン エスペシャル(アーシー・スパイシー)。この3銘柄だけでも、甘み・酸味・コクの方向性がまるで異なります。さらにコスタリカ(柑橘・ハニー)、グアテマラ(果実・バランス)、フルッタ アナエロビック(発酵・ワイン)を加えれば、コーヒーの味覚の全スペクトルを体験できる構成。
昭和7年創業、93年の歴史を持つ老舗ロースタリーの代表・櫻井健司氏はコーヒーインストラクター1級、アドバンスドコーヒーマイスター、Jr.スペシャルティコーヒーカッパーの資格を持つ専門家。その知見で選び抜かれた6銘柄は、味覚トレーニングの教材としてこれ以上ないラインナップです。
よくある質問
味覚トレーニングにはどれくらいの期間がかかりますか?
個人差はありますが、意識的に飲み比べを続ければ2〜4週間で変化を実感する方が多いです。最初の変化は「甘い・酸っぱい・苦い」の区別が明確になること。その後、「チョコレートっぽい甘み」「ベリーのような酸味」と表現が具体的になっていきます。焦る必要はまったくありません。日々のコーヒータイムを少し意識的に過ごすだけで、味覚は自然に育っていきます。
プロの焙煎士はどのように味覚を訓練したのですか?
NOVOLD COFFEE ROASTERSの代表はコーヒーインストラクター1級やアドバンスドコーヒーマイスターなどの資格を取得する過程で、体系的なカッピングトレーニングを積んでいます。カッピングとは、専門的な手順でコーヒーの品質を評価する官能検査のこと。しかしその根幹にあるのは、「何度も飲んで、何度も言葉にする」という地道な繰り返し。プロの味覚も、一朝一夕に身についたものではないのです。
嗅覚も鍛えたほうがいいですか?
ぜひ鍛えてください。コーヒーの「味」と感じているものの多くは、実は「香り」によるものです。試しに鼻をつまんでコーヒーを飲んでみてください。苦味と酸味しか感じないはず。鼻から息を抜いた瞬間に、チョコレートやフルーツの風味が広がる——これが嗅覚の貢献です。日頃から食べ物の匂いを意識的に嗅ぎ分ける習慣をつけると、コーヒーの味覚も連動して向上します。