コーヒーは好きだけれど、今日は軽やかで穏やかな一杯がいい。そんな日が、ありませんか。同じ「コーヒー」でも、口に含んだときの印象は、豆や焙煎、淹れ方でずいぶん変わります。この記事では、口当たりのやわらかいコーヒーに近づくための選び方を、焙煎度、焙煎機、淹れ方、水出し、そして具体的な豆の順にお話しします。
なお、この記事でお話しするのは味わいと淹れ方のことです。コーヒーが体に与える影響についてはふれていません。体調や持病のことで気になる点があるときは、お医者さんや薬剤師さんにご相談ください。
コーヒーの口当たりを決める4つの要素

「重たい」「強い」と感じるコーヒーには、たいてい次の4つのどれかが前に出ています。
- 酸味の強さ
- 苦味の強さ
- 渋みやえぐみ(雑味とも呼ばれる、すっきりしない後味のこと)
- 全体の濃さ
反対に、この4つが控えめにまとまっていると、口当たりはまろやかに感じられます。同じ豆でも、焙煎度や淹れ方、濃さを変えると印象はがらりと変わりますし、どこまでを心地よいと感じるかは人それぞれ。ここでご紹介するのは、あくまで選ぶときの目安です。
焙煎度で変わる口当たり|深煎りなら穏やか、とは限らない

焙煎度とは、豆をどれくらい深く焼くかの度合いのことです。大まかな傾向は、次のとおりです。
- 浅煎り:明るい酸味が出やすく、果実のような軽やかさ
- 中煎り:酸味と苦味のバランスがよく、甘みも感じやすい
- 深煎り:苦味とコクが前に出て、どっしりとした印象
「深煎りのほうが飲みやすそう」と思われがちですが、苦味の強さを重く感じる方もいらっしゃいます。迷ったときは、酸味も苦味も強すぎない中煎りから試してみるのもひとつの方法です。そこから、もう少し甘く、あるいはもう少し香ばしく、と好みの方向へ動かしていけます。
焙煎度の違いをもっと詳しく知りたい方は、コーヒーの焙煎度合いの選び方もあわせてどうぞ。
雑味の少ない焙煎を目指して|Loring S35 Kestrel の焙煎
NOVOLD には、性質の異なる二台の焙煎機があります。そのひとつが、アメリカの Loring Smart Roast 社製の Loring S35 Kestrel(2017年製)です。
特徴は、ひとつのバーナーで、豆を焼く熱と、焙煎中に出る煙を燃やす熱の両方をまかなう仕組み。メーカーはこれを「Flavor-Lock Roast Process」と呼んでいます。煙が豆に戻りにくい設計なので、すっきりとした味わいを目指しやすい焙煎機です。
焼き方は、熱風を循環させる方式です。焼きムラが出にくく、仕上がりがそろいやすくなります。焼きムラは、渋みやえぐみのもとになりやすい部分。ここが整うと、豆の持つ甘みや香りが素直に出てきます。
機械そのものについては、Loring S35 Kestrel の味と特徴で詳しくご紹介しています。
淹れ方で口当たりを整えるコツ

豆と焙煎が決まったら、仕上げは淹れ方です。難しい道具は要りません。ちょっとした加減で、味の印象はずいぶん変わります。
お湯の温度を少し下げる
沸騰直後のお湯は、少し冷ましてから使います。目安は、中煎りで88〜92℃、深煎りで85〜88℃。温度が高いと苦味が前に出やすくなります。温度の考え方はコーヒー抽出温度の最適解に詳しくまとめました。
出しすぎない
挽き目が細かすぎたり、抽出に時間をかけすぎたりすると、渋みやえぐみが出やすくなります。ハンドドリップなら、2〜3分ほどで落とし切るのがひとつの目安です。うまくいかないときは抽出がうまくいかない原因と対処法を見てみてください。
ペーパーフィルターで、すっきりと
ペーパーフィルターは、コーヒーの油分を通しにくいため、すっきりとした口当たりになりやすい道具です。一方、金属フィルターやフレンチプレスは油分ごと抽出するので、とろりとしたコクが残ります。どちらが上ということはなく、味の違いとして楽しむものです。軽やかな日はペーパー、ゆったり飲みたい日はフレンチプレス、という使い分けも素敵です。
濃さと量を、その日の気分で
いつもより少なめのカップに注ぐ。できあがりをお湯で少し割る。ゆっくり時間をかけて味わう。それだけで、同じ豆が違う表情を見せてくれます。焼き菓子や軽いトーストと一緒に、というペアリングもおすすめです。
水出しコーヒーという選択
水出しコーヒーは、低い温度でゆっくり抽出するため、苦味や酸味がまろやかに感じられやすい淹れ方です。お湯で淹れたものとは、味の出方がまるで違います。夏の飲み物と思われがちですが、グラスの氷がゆっくり溶けていく時間も含めて、季節を問わず楽しめます。
濃さは粉と水の比率で変わります。濃いと感じたら、水や氷で調整してください。作り方は水出しコーヒーの作り方にまとめています。
口当たりのやわらかさで選ぶなら|ブラジル 山口農園

口当たりのやわらかい一杯を探している方に、ご紹介したいのがブラジル 山口農園です。
産地はブラジルのミナスジェライス州、セラード地域。標高940mの農園で育った、ブルボン品種の豆です。収穫したコーヒーチェリー(実)を乾燥させてから種を取り出すナチュラル精製で仕上げています。焙煎は中煎り。この豆は、先ほどご紹介した Loring S35 Kestrel で焼いています。
味のチャートは、甘味4、香り3、コク2、酸味2、苦味2(5段階)。甘味が少し前に出て、あとは静かに並ぶ形です。

商品ページでは、「キャラメルとヘーゼルナッツを思わせる甘い香り」があり、「酸味も苦味も強く出ません」と紹介しています。「口当たりはまろやかで、後味はすっきりしています」とも。焙煎士の言葉を借りれば、「毎日ブラックで飲んでも飽きのこない一杯」です。
酸味の少ない豆をもっと知りたい方は、酸味が少ないコーヒー豆おすすめもご覧ください。
よくある質問

Q. 深煎りのほうが飲みやすいですか?
好みしだいです。苦味やコクのしっかりした味がお好きなら深煎り、苦味も酸味も控えめがよければ中煎りが合いやすいでしょう。迷うときは、中煎りから始めて、少しずつ焙煎度を動かしてみてください。
Q. 浅煎りの酸味が強く感じます。どうすればいいですか?
豆を中煎りに替えてみるのが手軽です。焙煎が進むと、酸味は落ち着いた印象になっていきます。お試しパックなら、味の方向が違う豆を少しずつ比べられるので、ご自分の好みの位置を見つけやすくなります。
Q. 体調が気になるときも、コーヒーを飲んで大丈夫ですか?
体調や持病によって変わることなので、この記事ではお答えできません。お医者さんや薬剤師さんにご相談ください。
NOVOLD について
NOVOLDの豆を焙煎するのは、三代目代表・櫻井健司。コーヒーインストラクター1級、アドバンスドコーヒーマイスターの資格を持ち、自らが毎日焙煎現場に立つ「焙煎する社長」です。1971年製ヴィンテージのProbatは手動操作が中心。豆の匂い、煙の色、ドラムの音──五感を駆使してその日の最適点を探る作業は、データだけでは測れない経験の領域です。機械と人の対話から生まれる一杯を、徳島の焙煎所からお届けします。
3種の豆を少しずつ試せる、お試しパックを見る → お試しパック お好きな3種(各100g)


