おうちのコーヒーをもう一段おいしくしたいなら、まず変えるべきはミル(グラインダー)です。豆を替えるより、淹れ方を工夫するより、粒のそろい方を上げるほうが味は素直に変わります。
手挽きミルのゴリゴリという時間にも風情がありますが、毎朝のこととなると話は別。そこで検討したいのが電動ミルです。単に楽をするための道具ではありません。粒をそろえる性能がそのまま、豆本来の甘みと香りに直結します。
この記事では、創業90年を超えるロースターの視点で、いま実際に買える電動ミルを3機種選びました。価格帯も性格も異なる3台です。
なぜ、電動ミルで味が変わるのか

おいしいコーヒーを安定して淹れるうえで、粒の不ぞろいは避けたい要素のひとつです。
粉の大きさがばらばらだと、細かい粉からは苦味が、大きい粉からは薄い味が出ます。結果として輪郭のぼやけた、雑味まじりの一杯になる。狙った味に近づけようとお湯の温度や注ぎ方を調整しても、原因が粒側にあるかぎり空回りします。
安価なミキサータイプ(プロペラ式)は、羽根が高速で回って豆を打ち砕く方式です。当たった回数だけ砕かれるので、大きい粒と細かい粒が同居してしまう。これに対して、この記事で紹介する機種はいずれも刃で豆を挟み、削るか、すり潰す構造になっています。
だから粒がそろう。お湯を注いだときの成分の出方がそろい、澄んだ味になります。挽き目と味の関係をもう少し詳しく知りたい方は、コーヒーの挽き方 完全ガイドもあわせてどうぞ。
いま買える電動ミル おすすめ3選
掲載しているのは、各メーカーの公式サイトで現行品として販売されている機種です。価格は改定されることがあるため、この記事には書いていません。各機種のメーカー公式ページへリンクしているので、最新の価格と在庫はそちらでご確認ください。
① HARIO V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN|まず一台目に

ハンドドリップから始めるなら、最初の一台に選びやすい機種です。
名前のとおりコンパクトで、幅130×奥行185×高さ312mm。キッチンの隙間に収まります。挽き目は39段階で調節でき、一度に挽ける豆は100g。二、三杯まとめて挽く日常使いに足ります。
今回の3機種では最も手が届きやすい価格帯で、それでいて粒をそろえる基本性能を備えています。「まずは電動を試したい。でも性能には妥協したくない」という方に。
② Kalita NEXT G2|家庭用のハイエンド

カリタの据置型グラインダーで、長く使う一台として選ばれてきた系譜のモデルです。
見た目が落ち着いていて、キッチンに出しっぱなしにしても様になります。挽いた粉の受けはステンレス製で、静電気で粉が飛び散りにくい構造。毎朝の掃除が楽なのは、使い続けるうえで意外と大きな差になります。
決して安い機種ではありませんが、一度買えば何年も使う道具です。日々の一杯を長く楽しむつもりなら、検討する価値があります。
- Kalita NEXT G2(KCG-17)(メーカー公式)
③ HARIO Electric Coffee Grinder SHIZUKA|静けさと精度を突き詰める
名前のとおり、静かさを設計の軸に据えた機種です。
低速回転による静音設計で、早朝でも家族を起こさずに挽けます。刃は高硬度ステンレスの臼式。挽き目は180段階まで調節でき、エスプレッソからフレンチプレスまで一台でカバーできる幅があります。
今回の3機種では最も高価ですが、調節の細かさと静けさを両立させたい方の選択肢になります。抽出器具を複数使い分けている方ほど、180段階という調節幅が効いてきます。
3機種の比較
| 機種 | 価格帯 | 挽き目調節 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| HARIO V60電動グラインダーコンパクトN | 3機種で最も手頃 | 39段階 | 最初の一台。置き場所を取りたくない |
| Kalita NEXT G2 | 中位 | 公式に記載なし | 長く使う据置型。粉の飛び散りを抑えたい |
| HARIO SHIZUKA | 3機種で最も高価 | 180段階 | 静かに挽きたい。器具を使い分ける |
迷ったら、まずコンパクトNから。挽き目を細かく調整したくなったとき、あるいは静かさが欲しくなったときには、NEXT G2やSHIZUKAが候補に上がります。
高級豆のポテンシャルは挽き目で決まる

私たちNOVOLD COFFEE ROASTERSが使う焙煎機「Loring(ローリング)」は、雑味を抑えて透明感のある甘みを引き出すのが得意です。
ただし、せっかく澄んだ味わいの豆でも、挽き目が大きくばらつくと抽出にもムラが生じやすくなります。特に微粉が多いと湯の流れに影響し、苦味や渋みが目立つ一因になることがあります。良い豆を買うことと同じくらい、良いミルを使うことが効いてくるのはこのためです。
ご自宅のミルで挽き目を調整したい方は、豆のままお届けします。器具に合わせた挽き方でお届けすることもできます。
まとめ

電動ミルは、毎日のコーヒー時間を長く支えてくれる道具です。挽く手間を減らしながら、安定した味わいを支えてくれる。毎日使う道具だからこそ、長い目で選ぶ価値があります。
挽き目そのものの選び方はコーヒーの挽き方 完全ガイドで、静かさを最優先に選びたい方は静音モデルの選び方もあわせてご覧ください。
