NOVOLD COFFEE ROASTERS(ノボルドコーヒーロースターズ)は、1971年製Probat UG22nと2017年導入のLoring S35 Kestrelという、性質の異なる2台の焙煎機を銘柄ごとに使い分けています。焙煎機が変われば、同じ産地の豆でも甘み・酸味・コクの出方はまったく別物になります。両機を知る焙煎士だからこそ語れる違いを、実際の焙煎データとともに解説します。
なぜ今、焙煎機の違いが注目されるのか

コーヒー選びで焙煎機が注目されるのは、豆の産地や品種が同じでも、熱の伝え方や煙の処理方法で味が大きく変わるためです。NOVOLD COFFEE ROASTERS(ノボルドコーヒーロースターズ)は、1971年製Probat UG22nと2017年導入のLoring S35 Kestrelという2台の焙煎機を、銘柄ごとに使い分けています。
豆の産地、品種、標高、精製方法に加えて「どの焙煎機で、どんなプロファイルで焼いたのか」まで気にする方が増えてきました。焙煎機は単なる「豆を焼く機械」ではありません。熱の伝え方、煙の処理方法、温度制御の精度——そのすべてが最終的なカップの味に直結します。
Probat UG22n — 1971年製ヴィンテージが紡ぐ重厚な甘み

Probat UG22nは、1868年創業のドイツメーカーProbat社が黄金期に製造した半熱風式の焙煎機で、NOVOLDが所有する個体は1971年製(製造番号「70/4164」)です。厚い鋳鉄製ドラムの蓄熱性と遠赤外線が豆の芯まで熱を通し、キャラメルやナッツを思わせる重厚な甘みとコクを引き出します。
この機体にデジタル制御は一切ありません。焙煎士が音を聴き、煙の色を見極め、豆の香りを嗅ぎ分けながら手動でガス圧やダンパーを調整していく。五感を駆使したアナログな工程こそが、機械には出せない温かみを生み出しています。
Loring S35 Kestrel — 最新鋭機が実現するクリーンな産地個性

Loring S35 Kestrelは、アメリカ・カリフォルニア州のLoring Smart Roast社が製造した対流式焙煎機で、NOVOLDは2017年からこの機種を導入しています。特許技術「Flavor-Lock Roast Process」が単一バーナーで焙煎と排煙焼却を同時に行い、煙による雑味を防いでクリーンな酸味と香りを引き出します。
精密に制御された対流式(熱風循環システム)は、豆一粒一粒にムラなく熱を供給。タッチスクリーンによる0.1℃・1秒単位のPID制御で、一度確立したレシピを何度でも忠実に再現できます。従来機比で最大80%の燃料削減を実現する環境性能も特徴です。
二台の焙煎機、実際に何を焙煎しているか
NOVOLDが実際に焙煎機を使い分ける基準は明快で、深煎りの銘柄はPROBAT、それ以外の浅煎り〜中煎りの銘柄はLORINGという線引きです。インドネシア マンデリン エスペシャルとブレンド「ノボルドエスペシャル」の深煎りベースはPROBAT、残る5つのシングルオリジンはすべてLORINGで焙煎されています。
| 項目 | Probat UG22n | Loring S35 Kestrel |
|---|---|---|
| 製造年・メーカー | 1971年・Probat社(ドイツ) | 2017年・Loring Smart Roast社(アメリカ) |
| 焙煎方式 | 半熱風式(伝導熱+対流熱) | 対流式(熱風循環)+ Flavor-Lock Roast Process |
| 温度制御 | アナログ(焙煎士がガス圧・ダンパーを手動調整) | デジタルPID制御(0.1℃・1秒単位) |
| 実際に焙煎する銘柄 | インドネシア マンデリン エスペシャル、ノボルドエスペシャルの深煎りベース | ブラジル山口農園、ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル、コスタリカ グラナディージャ、エチオピア アリーチャ ナチュラル、グアテマラ エルインヘルト |
| 味の傾向 | 重厚なコクと甘み | クリーンな酸味と香りの解像度 |
実際に飲み比べてわかる味の違い
実際の味の違いは、焙煎度が対照的な2銘柄で比べるとわかりやすくなります。PROBATで深煎りするインドネシア マンデリン エスペシャルはコク4・苦味3の力強い一杯、LORINGで中浅煎りするエチオピア アリーチャ ナチュラルは酸味4・甘味4・香り4の華やかな一杯と、味覚チャートの数値が対照的です。
PROBATで焙煎するマンデリン エスペシャルは、スマトラ式精製由来のアーシーな風味とダークチョコレートの甘みが折り重なるフルボディ。一方LORINGで焙煎するアリーチャ ナチュラルは、レッドワイン(メルロー)やストロベリーの風味が煙のフィルターを通さずクリアに立ち上がります。同じNOVOLDの豆でも、焙煎機によって味の設計図はまるで別物になるのです。
よくある質問
なぜ銘柄によって焙煎機を分けているのですか?
焙煎したい味の方向性が、深煎りとそれ以外で大きく異なるためです。厚い鋳鉄ドラムを持つPROBATは重厚なコクと甘みを深煎りで引き出しやすく、対流式でクリーンなLORINGは浅煎り〜中煎りの繊細な酸味と香りを損なわずに表現できます。NOVOLDでは現在、深煎りのマンデリン エスペシャルのみをPROBATで、残る5つのシングルオリジンをLORINGで焙煎しています。
Loring S35 Kestrelはどこで導入できますか?
Loring Smart Roast社はアメリカ・カリフォルニア州のメーカーで、日本国内への導入には代理店を通じた輸入と設置工事が必要です。機体価格に加えて輸送費・設置費もかかるため、NOVOLDが導入するS35 Kestrelも国内では導入例の少ない機種の一つです。
Probat UG22nのようなヴィンテージ機はまだ手に入りますか?
Probat社の黄金期に製造されたUGシリーズは、現在市場に新たに出回ることがなく、良好な状態で稼働する個体は世界的にも極めて稀少です。NOVOLDが所有する1971年製の個体(製造番号「70/4164」)は、半世紀以上前の機体を現役で稼働させている点自体が貴重な事例といえます。
どちらの焙煎機で焼いたかは商品ページでわかりますか?
はい、NOVOLDの商品ページには銘柄ごとに焙煎機名と焙煎士のコメントを掲載しています。たとえばインドネシア マンデリン エスペシャルには「PROBATで深めに焙煎しています」、ブラジル山口農園には「LORINGで中煎りに焙煎する」という具体的な記載があり、購入前に確認できます。
まとめ|二台の焙煎機を、一杯で味わうなら
NOVOLD COFFEE ROASTERSは、1971年製Probat UG22nと2017年導入のLoring S35 Kestrelを、深煎りかそれ以外かという基準で使い分けています。重厚なコクを求めるならPROBAT仕込みのマンデリン エスペシャル、クリーンな酸味を求めるならLORING仕込みの5銘柄がおすすめです。
ノボルドエスペシャルは、PROBATで深煎りにしたブラジル・コロンビア・グアテマラのベースに、LORINGで中浅煎りにしたエチオピア アリーチャを少量ブレンドした一杯です。二台の焙煎機の個性を、一杯でまとめて確かめられます。



