焙煎中に発生する煙は、豆の表面に再付着すると本来のフレーバーを覆い隠し、フルーティーな酸味やフローラルな香りを鈍らせます。NOVOLD COFFEE ROASTERSが2017年に導入したLoring S35 Kestrelは、特許技術「Flavor-Lock Roast Process」で煙が豆に触れる前に焼却し、この問題を根本から解決しています。
焙煎中の煙、実はコーヒーの味に影響している

焙煎中の煙は、メイラード反応やカラメル化反応にともないチャフ(薄皮)が燃え油分が気化して発生し、焙煎室に滞留すると豆の表面に再付着してフルーティーな酸味やフローラルな香りを覆い隠します。「スモーキーな風味」と「煙による汚染」は別物で、後者は本来のフレーバーが失われた状態を指します。
再付着した煙の成分は、豆本来のフレーバーを覆い隠します。せっかく産地や精製方法にこだわって選んだ豆の個性が、焙煎中の煙によって鈍くなる——これは決して珍しいことではありません。
煙が風味を損なう仕組み — クリーンカップという指標

クリーンカップとは、雑味や異臭がなく豆本来の風味がクリアに感じられる状態を指すスペシャルティコーヒーの品質指標です。焙煎中の煙に含まれるフェノール類などの化合物が豆の表面に付着する時間が長いほど、このクリーンさは失われ、カッピング評価のスコアにも影響します。
焙煎中の煙には、フェノール類をはじめとする不要な化合物が含まれています。これらが豆の表面に付着すると、本来のフレーバーにかぶさるように余計な味を加えてしまう。いわば、美しい絵の上に薄い灰色のフィルターをかけるようなものです。
Flavor-Lock Roast Processが煙を根本から断つ仕組み

Flavor-Lock Roast Processとは、Loring Smart Roast社の特許技術で、単一バーナーで焙煎と排煙焼却を同時に行うことで煙が豆に触れる時間をゼロにする仕組みです。従来の外付けアフターバーナー方式では煙がダクトを通過する間に豆と接触しますが、Loring S35 Kestrelの内蔵型設計はこの接触自体をなくします。
この「煙が豆に触れない」という物理的な仕組みが、産地の個性をダイレクトに残すクリーンカップを実現しています。
| 比較項目 | 外付けアフターバーナー方式(従来型) | Flavor-Lock Roast Process(Loring内蔵型) |
|---|---|---|
| 煙の焼却位置 | 焙煎機の外部(ダクトで搬送) | 焙煎機に内蔵(単一バーナーで即時焼却) |
| 豆と煙の接触 | 排出までの間に接触する可能性がある | 発生直後に焼却するため接触しない |
| 燃料効率 | 焙煎用・排煙用の2系統のバーナーが必要 | 単一バーナーで従来機比最大80%の燃料削減 |
「煙のない焙煎」で引き出されるNOVOLDの味わい
Loring S35 Kestrelのクリーン焙煎の効果は、酸味4・甘味4・香り4という味覚チャートを持つエチオピア アリーチャ ナチュラルに顕著に表れます。標高1,800〜2,000mのイルガチェフェ郡アリーチャ村で栽培された在来種をナチュラル精製したこの豆は、レッドワイン(メルロー)やストロベリーの風味が煙に遮られることなくクリアに感じられます。
同じくLoringで中浅煎りするコスタリカ グラナディージャも、Flavor-Lockの恩恵を受ける一杯です。標高1,850〜1,950mのタラス地域、ロスアンヘレス・マイクロミルでカトゥアイ種をイエローハニー精製したこの豆は、酸味2・甘味3・香り3というバランス型のプロファイルを持ち、はちみつを思わせるやさしい甘みと余韻が煙に遮られることなく続きます。
環境にも優しい排煙技術 — 燃料80%削減の意味
Flavor-Lock Roast Processは、単一バーナーで焙煎と排煙焼却を同時処理する設計により外付けアフターバーナーが不要になり、従来機比で最大80%の燃料削減を実現します。味の向上と、燃料コスト・CO2排出量の削減を同時に達成する点が、この技術のもう一つの価値です。
「環境に優しいから味は妥協している」のではなく、「煙を排除することが味の向上と環境配慮の両立を生んでいる」——NOVOLDがこの焙煎機を導入している事実は、味への妥協なき追求と、持続可能な焙煎への意思の表れです。
よくある質問
スモーキーなコーヒーが好きなのですが、煙は悪いものなのですか?
スモーキーなフレーバーが「好み」であること自体は、まったく問題ありません。ただし、意図してスモーキーに仕上げたコーヒーと、煙の付着により本来のフレーバーが損なわれたコーヒーは別物です。深煎りの焙煎度合いから来るスモーキーさと、煙の再付着による雑味は区別して考える必要があります。
自宅焙煎での煙対策はどうすればいいですか?
家庭用焙煎機や手網焙煎では、換気を十分に行い、発生した煙が豆に長時間触れないようにすることが基本です。屋外や換気扇の近くで焙煎する、焙煎後すぐに豆を冷却するといった工夫で、煙の再付着をある程度軽減できます。ただし、Loringのような内蔵型の排煙処理を家庭で再現するのは難しいため、クリーンカップを求めるなら専門ロースターの豆を選ぶのが確実です。
煙のないコーヒーはどんな味がしますか?
「煙がない」ことで、味が何か足りなくなるわけではありません。むしろ、豆が本来持つフレーバーがフィルターなしでダイレクトに感じられるようになります。フルーティーな酸味はより鮮明に、フローラルな香りはより繊細に感じられる——それが「クリーンカップ」と呼ばれる味わいの世界です。
Flavor-Lock技術で焙煎されているのはどの銘柄ですか?
NOVOLDが扱うシングルオリジン6種のうち、深煎りのインドネシア マンデリン エスペシャルを除く5銘柄(ブラジル山口農園、ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル、コスタリカ グラナディージャ、エチオピア アリーチャ ナチュラル、グアテマラ エルインヘルト)がLoring S35 Kestrelで焙煎されています。ブレンド「ノボルドエスペシャル」も、エチオピア アリーチャの部分にLoringの中浅煎りを使用しています。
まとめ|煙のないクリーンな一杯を試すなら
コーヒー焙煎の煙は、フェノール類の付着によってフルーティーな酸味やフローラルな香りを覆い隠す要因です。NOVOLD COFFEE ROASTERSが導入するLoring S35 Kestrelは、特許技術Flavor-Lock Roast Processで煙が豆に触れる前に焼却し、産地の個性をそのままカップに残しています。
ノボルドエスペシャルは、この技術で中浅煎りにしたエチオピア アリーチャを少量ブレンドした一杯です。PROBATの重厚なベースとLORINGのクリーンな香りを、一杯で飲み比べてみてください。



