ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル|ワインのような香りの正体

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NOVOLD COFFEE ROASTERSの焙煎士がProbat焙煎機の温度表示を確認

熱いうちは桃や赤い果実。冷めるにつれてベリーや赤ワインのような豊かさが顔を出す。それがブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラルです。「フルッタ」はポルトガル語でフルーツのこと。名前のとおり、温度とともに表情を変えていきます。ブラジルらしくないブラジル、という言い方がいちばん近い一杯です。

フルッタ アナエロビック ナチュラルのパッケージ

ワインのような香りは、どの瞬間に立ち上がるか

赤い果実を思わせるコーヒーの風味イメージ

一口目は、桃。熱い状態で最初に来るのは、赤い果実というより白桃に近い、みずみずしい甘い香り。苦味はほとんど立ちません。コーヒーだと思って口をつけると、少し面食らうのではないでしょうか。

中盤、湯気が落ち着いてくるあたりから、香りの方向が赤へ寄っていきます。チェリーやストロベリーを思わせる赤系果実の風味。柔らかい酸味がアクセントとして効いて、フルーツのジューシーさが前に出てきます。苦味とコクは控えめで、味覚チャートでいえば酸味4・香り4・甘味3に対して、コク1・苦味1。フルーツと香りが主役という設計です。

冷めたときが、この豆のいちばんの見どころ。ベリーや赤ワインのような豊かさが顔を出します。グラスに注いだ赤ワインが空気に触れて開いていく、あの感じに近い。温度が下がるほど印象が痩せていくコーヒーとは、まったく逆の動き方。急いで飲みきらないほうがいい豆です。

余韻には、甘い果実の気配が長く残ります。飲み終えたあとも口のなかに香りが漂い続けます。アナエロビック(嫌気性発酵)由来の複雑さは、この最後の場面でいちばんはっきり分かります。

ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラルの豆のプロフィール(早見表)

項目 内容
産地 ブラジル
地域 ミナスジェライス州セラード地域
生産者 4軒の生産者による委託生産
標高 1,080m
品種 ブルボン
精製 アナエロビック(嫌気性発酵)後にナチュラル精製
焙煎度 浅煎り
推奨抽出 ハンドドリップ:豆15g/湯250ml(1:16.5)/90℃/蒸らし45秒/合計3:00 | 挽き目:中細挽き

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産地はミナスジェライス州セラード地域、標高1,080m

ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラルの豆

育つのは、ブラジル・ミナスジェライス州のセラード地域(Cerrado Mineiro)。標高は1,080mです。品種は伝統的なブルボン。ここまでは、ブラジルのスペシャルティコーヒーとして珍しい組み合わせではありません。この豆を特別にしているのは、そのあとの工程です。同じ土地の同じ品種でも、精製方法をひとつ変えればカップのなかは別の飲み物になる。フルッタは、その落差がいちばん大きく出る例だと思ってください。

精製方法そのものの違いを知りたい方は、コーヒーの精製方法を全解説 — ナチュラル・ウォッシュド・ハニー・スマトラ式・アナエロビックの味の違いもあわせてどうぞ。

誰がどう作っているか|4軒の生産者と、天然酵母の発酵製法

焙煎した豆の仕上がりを確認するところ

この豆には、少し変わった来歴があります。ブラジル現地の生産者と直接交渉し、コーヒーが本来持つ天然酵母を活用する独自の発酵製法を共同開発したところから始まりました。2018年12月の試験販売では、初日に完売。当時はごく限られた数量しかありませんでした。

いまは4軒の生産者と組み、十分な数量を確保できるようになっています。委託生産というかたちで、同じ製法を複数の生産者が担う体制です。なお、この製法はブラジルにて特許出願中、商標登録も申請中です(2026年4月時点)。

肝心の精製工程は、アナエロビック(嫌気性発酵)を経てからナチュラル精製という二段構え。アナエロビックとは、酸素を遮断した密閉環境で発酵を進める手法です。ワイン醸造では古くから知られたやり方で、コーヒーに応用されるようになったのはごく最近のこと。酸素のある通常の発酵とは別の代謝経路が動くため、普段のコーヒーには生まれない有機酸やエステル類が生まれます。ワインを思わせる複雑さの出どころは、ここ。

そのあとのナチュラル精製は、コーヒーチェリーの果肉をつけたまま天日で乾燥させる方法。果肉の糖分と風味成分が、乾燥のあいだに豆へ移っていきます。発酵由来の香りと果肉由来の甘さが重なります。桃から赤い果実へ、さらにワインへと表情が動いていく理由は、この二段階にあります。温度や時間を誤れば不快な発酵臭に振れてしまう工程でもあり、発酵の管理が生産者の腕の見せどころです。

品種と産地と焙煎がどう味に効いてくるかは、コーヒー豆の品種・産地・焙煎の関係|種類で変わる味と香りのガイドで整理しています。

NOVOLD の焙煎|Loring S35 Kestrel と浅煎り

NOVOLD の焙煎機 Loring S35 Kestrel

NOVOLD はこの豆を Loring S35 Kestrel で浅煎りに焼いています。Loring は、単一のバーナーで焙煎と排煙焼却を同時に行う特許技術「Flavor-Lock Roast Process™」を備えた焙煎機。焙煎中の煙による風味への影響を抑える設計です。

方式は対流式。精密に制御された熱風を焙煎ドラム内で循環させて豆を加熱します。豆一粒一粒に均一に熱が入るため、豆ごとの焼きムラも、豆の内側と外側の焼きムラも出にくい構造。操作はタッチスクリーン式で、温度・時間・ファン速度を0.1℃、1秒単位で自動制御(PID制御)。一度決めた焙煎レシピを、バッチが変わっても同じようになぞれます。着地点は浅煎りです。

焙煎機の圧力計とサンプラー

焙煎を担当するのは、三代目の焙煎士・櫻井健司。NOVOLD には性格の異なる二台の焙煎機があり、深く焼き込む豆は Probat UG22n が受け持ちます。この豆は Loring で浅煎りに仕上げています。二台の詳細はProbat UG22n × Loring S35 Kestrelのページにまとめました。

いちばん美味しく淹れる|90℃・中細挽きの数値レシピ

コーヒーを抽出するところ

ハンドドリップで淹れてください。豆15g/湯250ml(比率1:16.5)/湯温90℃/挽き目は中細挽き/蒸らし45秒/合計3分00秒。中煎りの豆と比べて湯温を少し下げ、蒸らしを長めに取るレシピです。

蒸らしは湯を30〜40mlほど落として全体を湿らせ、45秒待ちます。浅煎りの豆は硬く、成分が出てくるまでに時間がかかるため、ここを短く切り上げると香りが開きません。あとは中心から外へ渦を巻くように、湯面を切らさないペースで注ぎ、3分00秒で落としきる想定です。湯温は90℃を基準に。高くしすぎると酸味が尖り、低すぎると桃やベリーの甘い印象が薄くなります。

そして、淹れたらすぐに飲みきらないこと。冷めていく過程がこの豆のいちばんの楽しみどころです。

合わせたい食べ物と、飲む時間

袋に詰めるコーヒー豆

苦味とコクがほとんどなく、赤い果実の風味と柔らかい酸味が中心。この輪郭に合わせるなら、脂の重いものより軽いほうが向きます。

ひとつめはベリー系の焼き菓子やタルト。ラズベリーやフランボワーズを使ったものは、カップのなかの果実感とそのまま重なります。ふたつめはフレッシュチーズ。モッツァレラやリコッタのような癖の少ないタイプで、ワインと果実の組み合わせをそのままコーヒーに置き換える感覚です。みっつめはドライフルーツ。ドライアプリコットやドライチェリーは、冷めてからのカップとよく合います。

飲む時間は、急がなくていい時間帯に。休日の午後や、夜にゆっくり座るとき。30分かけて一杯という飲み方ができる場面のほうが、この豆は本領を発揮します。忙しい朝に流し込むには少しもったいない一杯です。

他の銘柄とどう違うか|飲み比べで見える立ち位置

フルッタがどのあたりに立っている豆なのかは、他の銘柄と並べるとはっきりします。

ひとつはエチオピア アリーチャ ナチュラル|イルガチェフェのブルーベリー感を楽しむ。どちらもナチュラル精製で華やかな側の豆ですが、華やかさの方向が違います。アリーチャは花と桃、ブルーベリーのような、産地と品種が持って生まれた香り。フルッタは発酵由来のワイン感が乗るぶん、複雑さの質が違います。酸味はどちらも前に出ますが、フルッタの酸は柔らかく、赤い果実の甘さと一体になっているタイプ。

もうひとつはブラジル 山口農園|ブルボン種ナチュラルが生むナッツとチョコの甘さ。同じブラジル、同じブルボン種でありながら、行き着く先はまるで違います。山口農園は酸味が控えめで、ナッツとチョコレートの王道。毎日ブラックで飲んで飽きないタイプです。対してフルッタは酸味4の個性派で、驚かせにくる側。同じ産地と品種でも、精製と焙煎度でここまで離れるという見本のような二本です。

逆に言えば、苦味とコクのしっかりした一杯を求めている方、いつもの味を決めておきたい方には向きません。コク1・苦味1という数字のとおり、ずっしりした飲み応えを狙った豆ではないからです。ミルクを入れて飲む習慣のある方にも、あまりおすすめしません。

どれが自分に合うか迷ったら、100gずつ3種を選べるお試しパックから始めるのが早道です。なお、こちらはお一人様2回までのご購入とさせていただいています。

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よくある質問

Q. フルッタはどんな人に向いていますか? どんな人には向きませんか?

ワインのような複雑な発酵香や果実味が好きな方に、まず向いています。コーヒーを長く飲んでいる方ほど「これ、本当にコーヒー?」と驚かれることが多い一杯です。一方で、苦味やコクのある王道の味を求めている方、ミルクを入れて飲みたい方には向きません。フルーツと香りが主役のプロファイルなので、いつもの味の代わりというより、特別な日の一杯として選んでいただくのが合っています。

Q. どんな品種・精製方法のコーヒーですか? 発酵臭が強すぎませんか?

品種はブルボン、精製はアナエロビック(嫌気性発酵)を経てからのナチュラル精製です。通常のナチュラルでもフルーティーさは出ますが、アナエロビックではワインのような発酵感と鮮やかな赤系果実の風味が加わります。不快な発酵臭は感じられません。天然酵母の活動を精密に管理したうえで、Loring の Flavor-Lock 技術で煙の影響を抑えて焙煎しているためです。チーズやワインでいう熟成の旨味に近い感覚だと思ってください。

Q. おすすめの淹れ方は?

ハンドドリップで、中細挽き・湯温90℃。豆15gに湯250mlで、蒸らし45秒を挟んで合計3分00秒が目安です。浅煎りなので蒸らしは長めに取ってください。淹れたあとは急がず、温度が下がっていく過程も味わっていただくのがおすすめです。

Q. 200gでどのくらい飲めますか?

1杯あたり豆15gで淹れる計算なら、200gでおよそ13杯分。毎日1杯というより、週末ごとに楽しむ飲み方が似合う豆です。

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NOVOLD COFFEE ROASTERSの強みは、性質の異なる二台の焙煎機を豆ごとに使い分ける「温故知新」の哲学にあります。
ドイツ製の Probat UG22n が受け持つのは、深く焼き込んだ豆の厚みのある味わい。
最新鋭 Loring S35 Kestrel は、精密な熱風制御で焙煎ムラを抑え、煙の影響を排した焙煎を行う設計です。
新旧二機を三代目・櫻井健司が焼き分け、浅煎りから深煎りまで、それぞれの豆が持つ最良の表情を引き出します。

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