香りの良いコーヒー豆の選び方|浅煎り・精製・鮮度で決まる香りの正体と7銘柄比較

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香りの良いコーヒー豆の選び方|浅煎り・精製・鮮度で決まる香りの正体と7銘柄比較

香りの良いコーヒー豆を選ぶ基準は、「浅煎り〜中浅煎り」「ナチュラルまたは嫌気性発酵」「焙煎後60日以内」「淹れる直前に挽く」の4点です。銘柄名やパッケージの雰囲気ではなく、この4つを満たしているかどうかで、カップから立ちのぼる香りの強さはほぼ決まります。

コーヒーの香りは1,000種類を超える揮発性成分の集合体で、その大半は焙煎中の化学反応でつくられます。香りは産地のロマンではなく、焙煎度・精製方法・鮮度・挽き方という、買う側が確認できる条件で大部分を説明できます。

この記事では香りの正体を公開資料で押さえ、NOVOLD COFFEE ROASTERS(ノボルドコーヒーロースターズ)の7銘柄の登録データで「どれを選べば香りが立つのか」を示します。当店は1932年創業、94年(2026年9月時点)の自家焙煎コーヒー店です。参照資料は末尾に掲載しています。

結論:香りの良いコーヒー豆は「浅煎り〜中浅煎り × ナチュラル/嫌気性発酵 × 焙煎後60日以内 × 挽きたて」で選ぶ

香りの良いコーヒー豆とは、焙煎度が浅煎り〜中浅煎りで、精製方法がナチュラルまたは嫌気性発酵、焙煎後60日以内、そして淹れる直前に挽ける豆です。スペシャルティアラビカ46ロットを分析した研究(Foods、2023年)では、焙煎後の香気成分の違いは焙煎度・生産国・精製方法の順に大きいと報告されています。選ぶ順番もこの順で構いません。

条件 基準 理由 NOVOLDの該当銘柄
焙煎度 浅煎り〜中浅煎り 深い焙煎では花や果実の香りが焦げに変わる フルッタ、アリーチャ、グラナディージャ
精製方法 ナチュラル/嫌気性発酵 果肉を付けて乾かすと花の香りの成分が残る フルッタ、アリーチャ、山口農園
鮮度 未開封で焙煎後60日以内 焙煎直後から揮発と酸化が進む 全7銘柄
挽き方 淹れる直前に挽く 粉にすると放出が速まる 全7銘柄で選択可

家庭で最も差が出るのは「挽きたてかどうか」です。スペシャルティコーヒー協会(SCA)の試験手順でも、粉は直前に挽くとされています。

香りが強い豆を1つ選ぶなら、フルッタかアリーチャ

当店の味わいチャートは5軸(コク・酸味・苦味・甘み・香り)を1〜5で登録しています。香りが最高値の4に届くのは、ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラルとエチオピア アリーチャ ナチュラルです。フルッタは嫌気性発酵後にナチュラル精製した浅煎り、アリーチャはアフリカンベッドで乾かしたナチュラル精製の中浅煎り。どちらも「浅い焙煎 × 果肉を付けたまま乾かす精製」です。

コーヒーの香りの正体は、焙煎でつくられる1,000種類以上の揮発性成分です

コーヒーの香りの正体は、豆に含まれる1,000種類以上の揮発性成分です。ヘッドスペースGC/MSの分析で、焙煎豆から1,000を超える揮発性化合物が同定されています。ただしすべてが香りとして感じられるわけではなく、コーヒーらしい香りを担うのは約30種類です(Foods、2024年)。

焙煎機の排出口から焙煎したコーヒー豆をドラム缶へ落とすロースタリーの手元

生豆の香りと、焙煎でつくられる香り

生豆の段階にも香気成分はあり、その構成は精製方法よりも産地の影響を強く受けます。しかし「コーヒーの香り」の大部分は焙煎という熱処理でつくられた別の成分群で、花やナッツ、カラメルの香りは焙煎して初めて現れます。

メイラード反応・カラメル化・ストレッカー分解が香りをつくる

焙煎中に香りをつくる主な反応は、メイラード反応、カラメル化、ストレッカー分解の3つです。アミノ酸と糖が反応するメイラード反応はピラジン類(香ばしさ)を、カラメル化はフラン類(甘い焼き菓子の香り)を、ストレッカー分解はアルデヒド類を生みます。エクアドルの大学が4段階の焙煎度で行った実験では74の化合物が検出され、香りとして識別できたのは25でした。香りの強さは成分の数ではなく、鍵となる成分の量で決まります。

「香りが良い」には3種類ある — フレグランス・アロマ・フレーバー

コーヒーの香りは、粉の香り(フレグランス)、液体の香り(アロマ)、口に含んだときの香り(フレーバー)の3つに分けて評価します。SCAの評価規格「Standard 103-2024」が定める区分で、嗅ぐタイミングと、においが鼻に届く経路が違います。「香りが良い」がどれを指すのかを分けると、豆選びの精度が上がります。

呼び方 SCAの定義 嗅ぐタイミング 経路
フレグランス 抽出前の粉を鼻から嗅いだ知覚 挽いた直後、湯を注ぐ前 オルソネーザル
アロマ 抽出した液を鼻から嗅いだ知覚 抽出直後と、層を崩した瞬間 オルソネーザル
フレーバー 液体の味とレトロネーザルの嗅覚が合わさる 口に含んでいる間 レトロネーザル
アフターテイスト 口と喉に残る知覚 飲み込んだ後 レトロネーザル

オルソネーザルとレトロネーザルは、においの通り道が違う

においの分子が嗅上皮に届く経路は2つあります。オルソネーザルは息を吸うときに鼻孔から入る経路で、環境のにおいを捉えます。レトロネーザルは口の奥から息を吐くときに上がる経路で、医学系の総説では口腔から上咽頭・後鼻孔を通る逆行性の経路と説明されます。嗅いだときと飲んだときで印象が変わるのはこの違いです。

家庭で3つを嗅ぎ分ける手順

挽いた直後にドリッパーの粉を嗅いでフレグランスを、蒸らし中の湯気でアロマを確認します。最後にすすって口中で空気を混ぜ、鼻から息を抜くときに感じるのがフレーバーです。詳細はコーヒー豆のカッピング方法をご覧ください。

焙煎度で香りの方向が決まる — 浅煎りはフローラル、中煎りはナッツ、深煎りはスモーキー

焙煎度は香りの「強さ」ではなく「方向」を決めます。浅煎りは花や果実、中煎りはナッツやカラメル、深煎りは焦げや煙へ寄ります。SCA基準で4段階に焼き分けた実験では、中煎り相当(RL55)で甘い香り・ヘーゼルナッツ・カラメルが特徴となり、極端な深煎り(RL25)では焦げや硫黄を思わせる香りが目立ちました。

クーリングトレイの上で焙煎後のコーヒー豆を手のひらにすくって色を確認する様子

当店の焙煎度(5段階) 香りの方向 該当する銘柄 焙煎機
浅煎り 花、赤い果実、発酵感、紅茶 ブラジル フルッタ Loring
中浅煎り フローラル、ベリー、はちみつ アリーチャ/グラナディージャ Loring
中煎り キャラメル、ナッツ、ワイン様 山口農園/エルインヘルト Loring
中深煎り ビターチョコレート、香ばしさ 該当なし —
深煎り ダークチョコ、スパイス、土 マンデリン Probat

浅煎りが「香り高い」と言われる理由と、その限界

浅煎りが香り高いのは、花や果実の香りに寄与する成分が熱で壊れずに残るからです。ただし同じ実験は「極端に浅い焙煎(RL75・RL85)では香りのプロファイルが十分に発達しない」とも述べています。香りが生成する温度帯を通したうえで、壊す前に止める作業です。当店が浅煎り側にLoring S35 Kestrelを使うのは、PID制御でプロファイルを毎回再現できるためです。

深煎りの香りは、浅煎りとは別系統として評価する

深煎りの香りは劣化ではなく別系統です。インドネシア マンデリン エスペシャルはダークチョコレートとスパイス、土のニュアンスで香りスコアは3。ミルクと合わせた立ちのぼり方は浅煎りにありません。一般的な8段階の呼び名は焙煎度合い一覧にまとめています。当店の商品表記は前掲の5段階です。

精製方法で香りの濃さと質が変わる — ナチュラル・嫌気性発酵・ハニー・ウォッシュド

精製方法とは、収穫した果実から種子を取り出して乾かす工程です。果肉を長く付けて乾かすほど果実と発酵の香りが濃くなり、早く洗うほどクリーンで輪郭のはっきりした香りになります。実際、ナチュラルの豆は(一般に花の香りとされる)リナロールが多く、ウォッシュドの豆は(青い香りとされる)ヘキサナールが多いという濃度差が報告されています。

精製方法 工程の要点 乾燥の目安
ナチュラル 果実ごと乾かし、後で果肉を除く 平均で最長30日ほど
嫌気性発酵 密閉容器で酸素を断って発酵 発酵24〜72時間+乾燥
ハニー 果皮を除き粘液質を残して乾かす 平均18〜25日
ウォッシュド 果肉を除き発酵後に洗って乾かす 発酵12〜72時間+乾燥7〜15日
スマトラ式 水分35〜50%で脱殻し乾かす 乾燥は平均12〜15日

続けて、香りの傾向と該当銘柄を比べます。

精製方法 香りの傾向 該当銘柄
ナチュラル 果実的でワインを思わせ、重め アリーチャ、山口農園
嫌気性発酵 発酵由来の複雑さが増す フルッタ
ハニー カラメルや焦がした砂糖の甘さ グラナディージャ
ウォッシュド クリーンで輪郭がはっきりする エルインヘルト
スマトラ式 土やハーブを思わせ重い マンデリン

嫌気性発酵(アナエロビック)は、時間が香りの複雑さを決める

嫌気性発酵は、エアロックを付けた密閉タンクで二酸化炭素だけを逃がし、空気を入れずに発酵させる方法です。ブラジル・パラナ連邦大学の研究では24・48・72時間を比較し、48時間と72時間の区は24時間の区より複雑さと強度のある飲み口になりました。当店のフルッタは、この発酵の後にナチュラル精製を重ねたロットです。

イエローハニーは、ハニーの中で最も穏やかなタイプ

ハニー精製は残す粘液質の量や乾かし方でイエロー(ゴールデン)・レッド・ブラックに分かれ、イエローが最も穏やかとされます。コスタリカ グラナディージャはこのイエローハニーで香りスコアは3、はちみつとナッツの穏やかな香りが持ち味です。精製の全体はコーヒーの精製方法を全解説にまとめています。

産地で香りの系統が変わる — 5か国の公的機関・業界団体による記述

産地は香りの系統を決めます。印象論を避けるため、各国のコーヒー協会や地理的表示の登録機関が公表している記述を並べます。生豆の香気成分は精製方法よりも産地の影響を強く受けるため、産地の傾向は焙煎後にも残ります。当店が扱う5か国は、いずれも公的機関がカップの特徴を明文化している産地です。

産地 カップの特徴(公表値) 出典の発行主体 該当銘柄
エチオピア イルガチェフェ 果実的な風味、明るい酸、シルキー 査読誌 Food Sci Nutr アリーチャ
ブラジル セラード・ミネイロ カラメル〜ナッツの強い香り DataSebrae(原産地呼称) 山口農園、フルッタ
コスタリカ ロス・サントス 良いボディ、上品な酸、すぐれた香り ICAFE(コスタリカコーヒー協会) グラナディージャ
グアテマラ ハイランド・ウエウエ 繊細で強い酸、フルボディ、ワイン感 Anacafé(グアテマラ) エルインヘルト
インドネシア リントン チョコ・カラメル・スパイス、複雑 AEKI-AICE(インドネシア) マンデリン

標高も手がかりです。登録値の下限が最も高いのはグラナディージャ(1,850〜1,950m)とアリーチャ(1,800〜2,000m)で、いずれも香りで選ぶ銘柄です(エルインヘルトは1,500〜2,000mで上限だけが並びます)。山口農園は940m、マンデリンは1,300mで、甘みやコクで評価します。ただし標高と香気成分の相関は弱いという報告もあります。

NOVOLDの7銘柄を香りで比べる — 香りスコアとフレーバーノート一覧

当店の7銘柄を香りで比べると、香りスコア(1〜5)が最高値の4に届くのはブラジル フルッタとエチオピア アリーチャの2つで、残る5銘柄は3です。次の表は商品メタデータの登録値をそのまま並べたもので、価格は200gの税込です。グラナディージャ・マンデリン・エスペシャルはフレーバーノートが未登録です。

銘柄 香り 焙煎度 精製方法
ブラジル フルッタ 4 浅煎り 嫌気性発酵後にナチュラル
エチオピア アリーチャ 4 中浅煎り ナチュラル(アフリカンベッド)
コスタリカ グラナディージャ 3 中浅煎り イエローハニー
ブラジル 山口農園 3 中煎り ナチュラル
グアテマラ エルインヘルト 3 中煎り ウォッシュド
インドネシア マンデリン 3 深煎り スマトラ式
ノボルドエスペシャル 3 単一の焙煎度を持たない 複数(後からブレンド)

同じ7銘柄の香りの言葉・フレーバーノート・価格です。

銘柄 香りの言葉 フレーバーノート 200g
ブラジル フルッタ フルーツ/発酵感/紅茶 レッドワイン(ピノノワール)、ラズベリー ¥2,750
エチオピア アリーチャ フローラル/ベリー/紅茶 レッドワイン(メルロー)、ストロベリー ¥2,860
コスタリカ グラナディージャ はちみつ/ナッツ 未登録 ¥2,530
ブラジル 山口農園 キャラメル/ヘーゼルナッツ キャラメル、ヘーゼルナッツ ¥2,420
グアテマラ エルインヘルト ワイン/ベリー/ナッツ ヘーゼルナッツ ¥2,860
インドネシア マンデリン チョコレート/スパイス/アーシー 未登録 ¥2,600
ノボルドエスペシャル ダークチョコレート・キャラメル・ラズベリー 未登録 ¥2,420

香りの好みから銘柄を選ぶ

求める香り おすすめの銘柄 理由
花のような華やかさ エチオピア アリーチャ 中浅煎りのナチュラルで花とベリーが立つ
赤い果実とワインの複雑さ ブラジル フルッタ 発酵感と温度で変わる表情
穏やかな甘い香り コスタリカ グラナディージャ はちみつとナッツの余韻
香ばしいナッツ系 ブラジル 山口農園 中煎りでキャラメルとナッツ
ミルクに負けない力強さ インドネシア マンデリン 深煎りのチョコとスパイス

焙煎士のコメント

三代目焙煎士・櫻井健司はアリーチャについて「焙煎中から華やかな香りが立ち上り、抽出した味わいまでも想像させてくれます。冷めてからの甘みの変化がこの豆の一番の魅力ですので、急がずゆっくりと味わってみてください。」、フルッタについて「微生物の働きを最大限に引き出した個性的な味わいを、LORINGの最浅焙煎でできるだけそのまま残しました。」と述べています。

香りを立たせる淹れ方 — 挽きたて・湯温・蒸らしの3点

香りが立つ淹れ方の要点は、淹れる直前に挽くこと、湯温を90〜93℃前後に保つこと、蒸らしで十分にガスを抜くことの3点です。SCAの試験手順では湯温を93±3℃と定め、粉は評価の直前に挽くとされています。この3点を守るだけで、同じ豆から取れる香りの量が変わります。

ポットから氷を入れたグラスへ冷たいコーヒーを注いでいるところ

挽きたてかどうかが、最も大きな差になる

焙煎で生じたガスの一部は豆の多孔質構造に保持され、保存中は少しずつ、挽いたときや抽出時にはより急激に放出されます(J Agric Food Chem 2018)。粉の脱ガス速度は粒度と焙煎温度に強く依存するという報告もあります(Food Res Int 2014)。粒度と風味の関係は挽き方でフレーバーはこう変わる、ミル選びはグラインダーの選び方で解説しています。

銘柄別のおすすめレシピ(ハンドドリップ)

銘柄 豆 湯量・比率 湯温
フルッタ 15g 250ml(1:16.5) 90℃
アリーチャ 15g 250ml(1:16.5) 90℃
グラナディージャ 15g 225ml(1:15) 91℃
山口農園 15g 225ml(1:15) 92℃
エルインヘルト 15g 225ml(1:15) 92℃
マンデリン 18g 240ml(1:13) 88℃

同じ6銘柄の蒸らし・合計時間・挽き目です。

銘柄 蒸らし 合計 挽き目
フルッタ 45秒 3:00 中細挽き
アリーチャ 45秒 3:00 中細挽き
グラナディージャ 30秒 2:30 中挽き
山口農園 30秒 2:30 中挽き
エルインヘルト 30秒 2:30 中挽き
マンデリン 30秒 3:30 中粗挽き

フルッタとアリーチャの湯温が90℃と低いのは、ゆっくり抽出したほうが温度変化とともに香りが移るのを追えるためです。浅煎りの抽出は浅煎りコーヒーを美味しく淹れるコツにまとめています。

香りを守る保存 — 未開封60日・開封後2週間・挽いた豆1週間

当店が案内している保存の目安は、未開封で焙煎後60日以内、開封後は2週間以内、挽いた豆は1週間以内です。焙煎後のコーヒー豆は空気・光・湿気・温度の影響で劣化し、香気成分が抜けます。当店では焙煎後の豆を脱気密閉袋に充填し、パッケージに焙煎日を表示しています。

状態 目安 保存の要点
未開封 焙煎後60日以内 直射日光と高温多湿を避ける
開封後(豆のまま) 2週間以内 密閉して空気との接触を減らす
挽いた豆 1週間以内 表面積が大きく揮発が速い
長期保存 冷凍 結露と匂い移りの対策が必要

保存温度の違いは、実験で差が出ている

ポーランドの生命科学大学の試験では、開封した焙煎豆を5℃と20℃で1か月保存して比べました。5℃のほうがアルデヒド類・ピラジン類・フラン類の変化が緩やかで、20℃の豆から淹れたコールドブリューは土っぽさ・煙っぽさが強まり、チョコレート感と甘い印象が弱まりました。冷凍の手順はコーヒー豆の冷凍保存で解説しています。

焙煎直後より、少し置いたほうが安定する

SCAの試験手順では、焙煎後8〜24時間休ませてから評価することとされています。焙煎直後の豆は二酸化炭素の放出が激しく、湯を注ぐと粉が膨らみすぎて抽出が安定しません。味が取りにくいときは2〜3日置いてください。

香りを言葉にする — SCAの評価表で使われる9つのカテゴリー

香りを言葉にする最短の道は、既存の分類を借りることです。SCAの記述評価フォームでは、香りの特徴を9つの上位カテゴリー(フローラル、フルーティー、サワー/発酵、グリーン/植物的、ロースト、ナッツ/カカオ、スパイス、スイート、その他)から選びます。まずこの9つのどれに近いかを決め、細かい言葉へ降ります。

カテゴリー 日本語の目安 下位の項目
Floral 花 —
Fruity 果実 ベリー/ドライフルーツ/柑橘
Sour / Fermented 酸・発酵 サワー/ファーメンテッド
Green / Vegetative 青さ・植物 —
Roasted 焙煎 シリアル/バーント/タバコ
Nutty / Cocoa ナッツ・カカオ ナッティ/カカオ
Spice スパイス —
Sweet 甘い香り バニラ/ブラウンシュガー
Other その他 ケミカル/カビ臭/木

同じフォームでは香りの強さを0〜15の尺度で評価します。厳密な分類はこの記事のSCA 9カテゴリーを、比喩や言い回しのヒントはコーヒー豆の香りの表現を、花の香りの深掘りは浅煎りのフローラルな世界をご覧ください。

よくある質問

香りの良いコーヒー豆について、よく寄せられる質問を7問にまとめました。回答はすべて、この記事が参照する一次資料と当店の商品データに基づきます。公開資料に根拠が見つからない数値は書いていません。好みで判断が分かれる論点は、分かれたまま記しています。

香りのいいコーヒーは、浅煎りと深煎りのどちらですか

花や果実の香りを求めるなら浅煎り〜中浅煎り、香ばしさやチョコレートの香りなら中煎り〜深煎りです。SCA基準で焼き分けた実験では、中煎り相当で甘い香り・ヘーゼルナッツ・カラメルが特徴となり、極端な深煎りでは焦げや硫黄が目立ちました。「香り高い」は花・果実系を指すことが多く、浅煎り側が該当します。

コーヒーの香りは何種類ありますか

焙煎豆からは1,000種類以上の揮発性化合物が同定されていますが、コーヒーらしい香りを担うのは約30種類とされます。評価の場面ではSCAの記述評価フォームにある9つの上位カテゴリーから選び、日常的にもこの9つが目安になります。

香りが強い豆を見分ける方法はありますか

購入前に確認できるのは、焙煎度・精製方法・焙煎日の3つです。浅煎り〜中浅煎りで、ナチュラルまたは嫌気性発酵、焙煎日が新しい豆を選べば、香りが立つ確率は高くなります。当店は全銘柄でこの3つと香りスコアを公開しています。

コーヒーの香りが立たないのはなぜですか

多いのは、粉で買って時間が経っていること、湯温が低すぎること、蒸らし不足の3つです。豆のまま買って直前に挽き、湯温90〜93℃、蒸らし30〜45秒から見直してください。

挽いた豆はどのくらいで香りが落ちますか

当店の案内では1週間以内が目安です。粉は表面積が大きく揮発が速く、豆のままより早く香りが落ちます。粉で買うなら少量を短い周期で買うのが現実的です。

アイスコーヒーでも香りは楽しめますか

楽しめますが、温かいときとは出方が変わります。前掲のポーランドの試験では、コールドブリューはエスプレッソより甘く果実的で、ラム様のニュアンスが強いと報告されています。浅煎りを冷たく飲むなら氷で急冷が向きます。

ブレンドとシングルオリジンでは、どちらが香りが良いですか

香りの強さではシングルオリジンが、まとまりではブレンドが有利です。シングルオリジン6銘柄のうち2つが香りスコア4、ノボルドエスペシャルは3です。エスペシャルは深く焼いた豆に、Loringで中浅煎りにしたアリーチャを少量重ねた構成です。

まとめ:香りで選ぶなら、焙煎度→精製→鮮度→挽き方の順に決める

香りの良いコーヒー豆を選ぶ順番は、①焙煎度を浅煎り〜中浅煎りに絞る、②精製方法をナチュラルまたは嫌気性発酵に絞る、③焙煎後60日以内を選ぶ、④豆のままで買って直前に挽く、の4ステップです。この順番は、焙煎後の香気成分の差が焙煎度・産地・精製の順に大きいという分析と整合します。

香りスコア4は2銘柄です。まずは華やかさが際立つエチオピア アリーチャ ナチュラルからお試しください。

エチオピア アリーチャ ナチュラル エチオピア アリーチャ ナチュラル ¥2,860〜 商品を見る →

赤い果実とワインのような複雑さ、温度で移り変わる表情を求める方には、嫌気性発酵のブラジル フルッタが向きます。

ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル ブラジル フルッタ アナエロビック ナチュラル ¥2,750〜 商品を見る →

香りを最大限に受け取るには豆のままをおすすめします。200gは約20杯分で、開封後2週間で飲み切る量に合います。

窓辺の明るいダイニングでマグカップを手にコーヒーを味わう女性

この記事の出典

この記事で数値や定義として示した外部の事実は、以下20件の一次資料で2026年9月14日に確認しました。香りの定義は1〜2番と9番、成分・焙煎・脱ガスは3〜7番、精製と産地は8番と10〜18番、当店の設備と調達基準は19〜20番が根拠です。焙煎度・価格・レシピはShopifyの登録データです。

  1. SCA Standard 103-2024 Descriptive Assessment
  2. SCA Standard 102-2024 Sample Preparation
  3. Vezzulli F. ほか, Foods 2023;12(3):489
  4. Obando A. M. ほか, Molecules 2024;29(19):4723
  5. Gantner M. ほか, Foods 2024;13(24):3995
  6. Smrke S. ほか, J Agric Food Chem 2018;66(21):5293-5300
  7. Wang X., Lim L.-T., Food Res Int 2014;61:144-151
  8. da Silva Vale A. ほか, Foods 2022;12(1):37
  9. Özay H. ほか, Balkan Med J 2019;36(1):49-59
  10. Markos M. U. ほか, Food Sci Nutr 2023;11(8):4419-4431
  11. Cafe Imports「Natural Process」
  12. Cafe Imports「Honey Process」
  13. Cafe Imports「Washed Process」
  14. Cafe Imports「Wet-Hulled Process」
  15. DataSebrae「Região do Cerrado Mineiro」
  16. ICAFE「Los Santos」
  17. Anacafé(グアテマラ全国コーヒー協会)「Highland Huehue」
  18. AEKI-AICE(Indonesian Coffee Exporters Association)「7 Types of Sumatran Coffee」
  19. Loring Smart Roast「S35 Kestrel」
  20. NOVOLD「産地から焙煎所まで」

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